英語はいつから始めるのがベスト?

日本の英語教育を変えるキーパーソン 水野 稚(3)

いつ始めるのがベストか

安河内:水野先生、話はがらっと変わるようなんですが、ズバリお伺いします。「じゃあ、どうすれば、子どもたちは英語ができるようになるのか」。これが親御さんたちもいちばん知りたいことだと思います。

「小学校でやらなくていいんです」と先生はおっしゃる。じゃあ、いつ始めて、今の公教育の枠組みの中でどのようにやっていけば、私たちの子どもはできるようになるのかと、これをぜひお聞かせいただきたい。

水野:始める時期ですが、いつがベストかというのは研究がされていないのです。英語を外国語として勉強することが、小さい頃のほうがいいとか悪いとかというのは、科学的根拠を示す前の研究がほとんどなされていない。文部科学省が国家政策として行うものに対して、ほとんど研究がなされていないということ、どうするのがいいのかまだわからない段階で踏み切ることが、まず問題があると言わなければなりません。

それを踏まえての個人的見解としてお聞き願いたいのですが、私は英語を始める年齢は、現状と同じ中学校からでいいと思います。

安河内:中学校1年生でどこまでやるかというと、週4時間でbe動詞、一般動詞、助動詞、過去形規則変化、不規則変化まで行くんですよね。この急な上り坂で落ちこぼれていく子が多い。これは小学校の英語教育と関係なく、この中1の急な上り坂で、どうすれば落ちこぼれないですか?

水野:落ちこぼれることをダメと思ってることが、私にはわからないです。向き不向きがあるのだから、数学だって理科だって落ちこぼれることもあるでしょ。

安河内:いや、英語が嫌いだという子どもの率が、ひどいときには7割に達するんですよ。さらにほかの4科目というのはOECDの調査でも世界の中で高い水準にあるのに、英語だけが先進国の中で際立って低い状況なのです。

水野:言語的な距離感もありますよね。

安河内:それもあると思うのですが、では、韓国はなぜできるのか。言語的な距離感でいえば、日本語と韓国語は英語とは同じく対極にあるのにです。

水野:日本語と韓国語は近くて、対極に英語があるんですよね。韓国が英語ができるというのは、TOEFLの点数でおっしゃっているのですか。

安河内:TOEFLの点数は、韓国のほうが日本より受験者数は多いにもかかわらず高いということがあります。

水野:韓国の場合には徴兵免除ということがあるので、本気度が違いますよ。留学していたら軍隊に入らなくていいとなると、モチベーションはものすごい。

安河内:モチベーションの差が国民的英語力の差を生んでいる、と。

水野:でも、英語に対するモチベーションが低いということは、幸せなことですよ。テレビ収録(テレビ番組『侃々諤々』『言いにくいことをハッキリ言うTV』)でも言いましたが、夏目漱石も「それはいいことだ」と言っているのです。「独立国になった証拠だ」と。自分たちの言葉で英語を教えたり科学技術を教えたりというのは、独立国として自分たちの教育を自分たちの手に委ねられている、これは幸せなことである、と。

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