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プロフェッショナル、仕事の英語のススメ
安河内:最初は、スピーキングテストに向けてでいいので、日本人がもっともっと英語を口にする機会が増えていくといいですね。
ソレイシィ:そうですね。日本の英語はまだeducational environment(教育的な環境)にあると思うんですね。英語をEnglish as an Educational Language(教育英語)と、English as a Professional Language(仕事の英語)とEnglish as a Native Language(母語としての英語)の3つに大きく分けるとすると、日本は圧倒的に、English as an Educational Languageの環境ですよね。
学生、社会人、リタイアした人、どの層を見てみても、普段、英語を使う理由は「勉強のため」という割合がすごく大きいです。ビジネスで実際に英語を使っている人はまだ少数派のようです。
安河内:ごくわずかですね。
ソレイシィ:ある1日を切り取って、日本で英語を使った人の割合を見たら、大半は英語を学ぶために使った人。そう考えると、日本の英語環境に変化をもたらす効果的な方法は、やはり教育の場を改革することになりますね。
安河内:しかし、日本の教育では「試験準備」が重視されます。
ソレイシィ:だから教育英語の現場の試験を、詰め込み式のペーパーテストから運用能力を直接、測る面接型に変えなきゃいけない。多くの人にとって、英語を学ぶ目的は「テストでいい点をとるため」ですから。
試験が運用能力を直接、測るかたちに変われば、試験勉強をすることで実際に英語が使える人材が増えていき、English as a Professional Languageの割合も高くなっていく。となれば、日本に英語はもっと浸透し、定着していくでしょう。教育英語では「ネイティブの英語を理解する」という考えが強い。この場合、source language(源の言語)はnative likeと考えられる英語です。
ところがEnglish as a Professional Languageになると、source language は日本語であって、日本語に合う英語は何かというのが重要になります。これが、新しい、そして真の「日本の英語」が生まれるきっかけになるはずです。
もし私がフランスで英語を使ってビジネスをしようと思ったら、フランス人がよく使う英語を知らないとダメなのです。同様に日本でビジネスしたい人たちは、日本でよく使われる英語表現や英語のマナーを理解し、それらに合わせる必要がある。
残念ながら今は、日本の大半の人が、手本とすべき英語はネイティブスピーカーのもので、自分が使う英語もできるかぎり、ネイティブのものに近くなければいけないと考えてしまっています。それではその人の個性を消してしまうし、もったいないと思うんですね。
今後、Professional English environmentが増えれば増えるほど、「母語である日本語と自分の教養を反映させたその人独自の英語」が出てくるようになる。そうなればなるほど、日本で、それも特に日本の企業で話される英語は、世界に認められる英語のひとつになります。
私がスピーキングテストを広めようと思っている理由は、ただ「楽しく英会話しましょう」ということではありません。日本の「native likeな英語をとにかく理解する」という堅苦しい環境を、もっと英語でcomfortableに表現できる環境に変えるためです。
たぶんこれは、日本の企業で “This is standard English for doing business with Japanese companies.”と言えるようになったときに、実現すると思うんですね。「ネイティブのように」表現するよりも、source languageである日本語を生かした英語で、何を表現するかが大事です。
繰り返しになりますが、source languageは日本語です。そんな時代に向かっていますし、だからこそ、受験者が自らの言葉で表現しなければならないスピーキングテストの存在意義があるのです。
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