学ばない「古い人」が実権握る日本の致命的弱点

中島聡さんが語る「デジタル」との向き合い方

伝説のプログラマーとも呼ばれる中島聡さんと徹底的に議論しました
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グローバルの舞台で、かつてあったはずの輝きとプレゼンスが日本から失われているのはなぜなのか。そして、そこから脱却するためには何が必要なのか。
政府、企業、市民社会、専門家との連携を通じ、テクノロジーを最大限に活用して社会課題を解決するための必要なルールづくりと実証を推進する「世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター」。その初代センター長を務める須賀千鶴が、日本を代表する各界の知識人に真正面から問いかけて議論していく対談シリーズ第6回。

デジタル時代に対応した、日本社会全体のアップデートが喫緊の課題となっている今、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」といった言葉にも注目が集まっている。若くしてアメリカに渡り、マイクロソフト「ウィンドウズ95」のチーフアーキテクトを務めるなど輝かしいキャリアを築かれてきた中島聡さんと、デジタルテクノロジーがもたらす社会への影響やその本質、国家としてデジタル化に向けて大きく舵を切る日本の分岐点について議論した。

オープンソースが求められる理由

須賀 千鶴(以下、須賀):コロナ禍に、日本のデジタル分野がいかに遅れているかということが明らかになったと思いますが、同時に、日本社会全体で、デジタル時代へのアップデートの必要性がようやく理解されたのではないかと感じています。政府は、デジタル庁の創設を公約に掲げていますが、デジタル庁については、どのようにご覧になられていますか?

中島 聡(以下、中島):デジタル庁を立ち上げるとすれば、柱となるプリンシパル(原則)が必要になるでしょう。ハンコをなくすといったことは結果の1つでしかなく、デジタル庁を通じて、何をしようとしているのかという「核」が必要になります。私は、政府のお金を1円でも使ったソフトウェアは「オープンソース」にすることを決めた法律を作るべきだと思っています。現在の政府や地方自治体の予算は、ITゼネコンと呼ばれる、IT業界のシロアリに食われまくっているような現状です。

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政府の側にも問題はあります。政府や自治体のITプロジェクトに予算がついた場合、その予算は必ず使い切らなくてはなりませんが、きちんと予算を使い切って、あらかじめ決められたものを作ることだけがゴールになっており、その先のアウトカムが設定されていません。そうなれば、とにかくベンダーに丸投げして、決められたものを作らせることができればおしまいです。メンテナンスや変更のやりやすさなども考えられておらず、設計が根本から間違っています。

この問題が残る限り、デジタル庁を創設して、いくらお金をつぎ込んでも、ITベンダーにすべて吸い取られてしまいます。システムを作ったとしても、5年後にはコードも全面書き直しです。ITベンダーの側からすれば、全面書き直しにならないようなプロジェクトの受け方をする営業担当者は優秀ではないですからね。完成したプロジェクトが何年役立つかよりも、受注した仕事を何度も書き直して、予算をとるほうが重要になっています。

須賀:政府のインセンティブ設計にも問題があるわけですね。

中島:この問題を解決するためには、政府のお金で作ったものは、すべてオープンソースで公開し、全員が見られるようにすればいいんです。そうなれば、私のようなエンジニアが、そのソフトウェアは本当に割り当てられた予算の価値があるのかどうか見にいきますよ。そして、問題があれば、延々と文句を言い続けます。オープンソースであれば、システムに対して、このように直したほうがいいといったこともリクエストを出せますから、ITベンダーたちも今のような仕事ができなくなると思います。彼らがいい仕事をしているかどうかは、オープンソースになれば、すぐに判断ができるようになります。

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