読書家なのに「教養がない人」がやりがちなこと 本を読むときの正しい読み方、読む順番とは
難解な本は暗闇と同じ
ちょっと前ですが、近くの古本屋でマルクスの『資本論』全巻セットがたった500円で売っていました。かつては一世を風靡したマルクスの『資本論』があまりにも不憫に思えて、思わず買ってしまいました。
たしかに世界を大きく変えた本に違いない。ですが、とても難解です。いきなりマルクスの『資本論』を読んでも、まず理解できる人はほとんどいないでしょう。「剰余価値」とか「価値」と「労働価値」の違いだとか、「労働力の商品化」なんて言葉が出てくると、もう何が何だかわからない。
「何を理屈っぽく、こねくり回しているの?」とイライラが増して、第1章を読み終わらないうちに投げ出してしまうでしょう。
でも、これが資本論の入門書や、新書などの解説本を数冊読んだ後に読むと、「剰余価値」って、賃金以上に労働者が働かされている分なんだとか、「労働力の商品化」って、要は経営者が従業員の労働力をお金で買っていることなんだと理解できるわけです。そして資本論がどんな内容であるか、何を目指して書かれているか、大きな方向性、ベクトルがわかる。
いきなり暗闇に立たせられたら、誰でもどちらに向かって進んでいけばいいか迷います。おおよその出口だけでもいい、最初に示してもらえたら、とりあえずは進むことができます。
とくに難解な本は暗闇と同じです。いきなり飛び込んでもポイントがわからず、読み進め方もわかりません。まずは入門書などで用語の意味や本の主旨、大まかな構成などを知っておく。一筋の明かりがあれば、それを目指して進んでいけるのです。
筋トレにたとえたらわかりやすいでしょうか。いきなりベンチプレスで100kgに挑戦する人はまずいないでしょう。30kg、40kgと体を慣らし、筋力をつけていきながら、次第に増やしていきます。
本の場合は、難易度が数値化されているわけではありません。「これは50kg相当の負荷がかかるとしたら、こちらは100kgかかりますよ」「ヘーゲルの『精神現象学』は250㎏もあるので、いきなりやると骨が折れてしまいます」といった基準があればいいのですが……。
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