(第7回)リファイナンスという「打ち出の小槌」の発明

(第7回)リファイナンスという「打ち出の小槌」の発明

住宅価格の高騰を背景にして、いくつかの新しい借り入れの手法がアメリカで「発明」された。これは、値上がりした住宅や低下した金利を利用する手法だ。これによって、アメリカ人は現金がいくらでも湧き出てくる魔法の錬金術を手に入れたのである。このメカニズムを通じて、資産価格の上昇が実体経済に影響した。

簡単な数値例で説明すれば、次のようなことだ。

いま100万ドルの家を全額住宅ローンで購入したとしよう。その住宅が150万ドルに値上がりしたとする。この差額50万ドルは「ホームエクイティ」と呼ばれる。これを担保に借り入れをする。これをホームエクイティローン(またはセカンドモーゲッジ)という。担保があるため、通常の消費者ローンよりも低い金利で借り入れができる。

さらに、「キャッシュアウト借り換え」(cash−out refinance)と呼ばれる手法が「発明」された。これは次のような仕組みだ。前と同じ設定の下で、金利が2分の1になったとしよう。値上がり後の住宅価格の限度まで借り入れをして、150万ドルを手に入れる。元のローンを返却すれば、50万ドルの現金が手元に残る。そして、金利の支払いは前より少なくなる。つまり、住宅価格が値上がりを続け、金融緩和が続くと、「何の負担増もなしに、現金が手元に発生する」ということが可能になったのである(現実にはこの数値例のように簡単ではないが、それに似たことが発生した)。

新規住宅ローンのうち6割は、キャッシュアウトを伴う借り換えであったと言われる。これによって巨額の現金が家計部門に転がり込んだのである(その額については後で述べる)。得られた現金は、大学入学資金、住宅の大規模な修理、そして自動車購入などに用いられた。

さらには、住宅価格値上がりを見越して住宅購入額より多額のローンを受けることすら行われた。この場合には、「住宅を買うと同時に、タダで自動車も買える」ということになるわけだ。つまり、住宅価格の上昇分を、それが実現する前に「消費してしまった」のだ。

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