高知東生「55歳でようやく成人を迎えられた」

薬物依存症だった彼が人生を生き直せている訳

覚醒剤と大麻所持の容疑で逮捕された俳優の高知東生さん。壮絶な半生と、薬物依存症という壁をどうやって乗り越えようとしているのかをお聞きしました(写真:梅谷秀司)
2016年に覚醒剤と大麻所持の容疑で逮捕された俳優の高知東生(たかち・のぼる)さん。現在は依存症の治療を続けながら依存症予防・啓発活動を行っている。また、2020年8月には、任侠の息子として生まれバブル絶頂期の東京で“成り上がり”を目指し、その後俳優活動を始めた末に薬物で逮捕された、壮絶な半生を綴った著書『生き直す 私は一人ではない』も上梓した。そんな高知東生さんにこれまでどうやって生きてきたのか、薬物依存症という壁をどうやって乗り越えようとしているのかを聞いた。

逮捕されるまで根性論で生きてきた

──高知さんは所謂、機能不全家族で育っていますよね。また、17歳の頃にお母様が自死されたという悲しい過去もあります。薬物に手を出されたのはそのような背景と関係があるのでしょうか。

高知東生(以下、高知):直接的にはないですね。でも少しも影響していないと言うとうそになるのかもしれません。育ってきた環境が自分の人格形成であったり、道徳観を生み出したりしています。父親だと思っていた人が実は違って別に父親がいた。自分はそれを知らなかったのに親戚や地元の人はみんな知っていた。自分だけがそれを知らなかったんです。

地元では有名な話です。だから、矢沢永吉さんの『成りあがり』という本を読んで「自分も成り上がるぞ!」と上京しました。でも実際は本当のことがバレるのが怖くて地元から逃げたかっただけだったんです。

薬物はそういう複雑な環境の中で逃げたくて「なんでもやってやる」という当時の根性論から手を出してしまった部分はあると思います。

──俳優としてデビューされたのは28歳のときですが、上京したての頃は何か夢や目標はあったのでしょうか?

ひたすら漠然と「金を掴む」「いいクルマに乗ってやる」と思っていた(写真:梅谷秀司)

高知:中高と野球しかやってこなかったので学もないし、何も目標はありませんでした。目標というよりひたすら「とにかく金を掴むぞ」「いいクルマに乗ってやる」といった漠然とした気持ちでした。

四国の田舎者が東京に出てきたとき、最初は居候のようなところから始まりました。東京では現実的に金を稼がないと引っ越しもできないし自分の住みたいところにも住めない。高知県だと家賃も東京と比べると3分の1で物価が違い、敷金や礼金のレベルも違う。高知県にいた頃は全寮制の学校にいたのでお金の心配をしたことがありませんでした。そこで、「うわっ、東京ってこんなにお金がかかるんだ」と、とにかく金を稼ぐための根性論で精一杯でした。

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