高知東生「55歳でようやく成人を迎えられた」 薬物依存症だった彼が人生を生き直せている訳

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

聞いたことは口外しないというルールだから、そういった中で本当の心の内を他人だからこそ話せる。それによってスッキリする。恋愛だってそうじゃないですか。彼氏に「こうでああで……」と話しても男性は解決策を真剣に答えて、でも女性は「いや、ただ聞いてくれるだけでいいのに」と。人間って、言いたいことをさらけ出して語ることでスッキリすることがたくさんある。心のコップというものは人間には大小があって、それをたまにこぼしてコップの隙間を増やしておくことが大事だと思います。

自分の気持ちを正直に話すことで余裕ができる

コップから水があふれてしまうと僕みたいに捕まるとわかっていても薬物をコントロールできなくなって止めたくても止められなくなってしまう。実際に自分の気持ちを正直に話すことでコップに余裕ができるのですが、それをしないとストレスがかかったとき、こぼれていても何とかしたいと薬物に逃げてストレス解消、その時間だけでも忘れたいというものに依存してしまい「またやっちゃった。やめようと思っていたのに」となってしまうわけです。

『生き直す 私は一人ではない』(青志社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

自助グループに参加してわかち合ってもらいコップの水をこぼして楽になった今、本当に自助グループがもっと広まってほしいと思っています。いろんなところで役に立てる心のケアだと思うんです。アメリカをはじめとする海外だと自助グループはさかんに行われています。しかし、まだ日本は「恥ずかしい」「言えない」といった変な道徳観があります。

──自助グループは口外禁止というルールがありますが、本当はどこかで漏れているのではないかという不安はありませんでしたか?

高知:最初は半信半疑でした。だって普通に生活していても親友に秘密を話すとどこかから漏れていたってこと誰でもありますよね。でも、これが自助グループはないんです。なぜかというとみんな同じ気持ちだから。自助グループの仲間は本当に特別です。ほかでは絶対につかめない、ほかではありえない人間関係です。だからこそ、もっと自助グループが広まって生きやすさにつながってほしいです。

姫野 桂 フリーライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ひめの けい / Kei Himeno

1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをしつつヴィジュアル系バンドの追っかけに明け暮れる。現在は週刊誌やWebなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好きすぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。趣味はサウナ。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事