高知東生「55歳でようやく成人を迎えられた」 薬物依存症だった彼が人生を生き直せている訳

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これは僕にとって初めての経験でした。それまで自分の家族や大切な人には迷惑をかけてはいけない、言うべきことではない、できるならすべて自分で片付けておかないとと思っていたんです。大事な奴には迷惑をかけたくないという美学が勝手にあったんです。でもそれで結局苦しむことになります。

自助グループで話したことによって楽になり、回を重ねていくにつれてどんどん楽になっていきました。

──自助グループには今現在も参加されているんですか?

いろんな自助グループに顔を出すことで、仲間に救われたと感じている(写真:梅谷秀司)

 

高知:行けるところはどんどんサービス活動で行ったりしています。いろんな自助グループに顔を出すことで、僕は本当に仲間に救われたと感じています。

──少し話は変わりますが、コロナ禍で孤独を感じている人は多いと思います。自助グループでも何か変化はありましたか?

高知:まず、コロナ禍の中でどれほど自助グループが開催できなかったか、これで本当にみなさん苦しんだと思います。オンラインでも試みました。オンラインのよさもありますが、やはり人の心のケアというものは実際に会って相手を見てあげて、こっちも受け入れて認めてあげる、そういった空気というものがすごく大事だなと感じました。オンラインももちろん便利ですが、人というものは会ってこそ、その人を包んであげられる大切な部分があります。今回のコロナ禍で苦しんでいる人は本当に増えたと思います。

だから、依存症だけに限らず、自分に自信をなくしたり、先を考えすぎて苦しくなったり、前が見えなくなったりといった生きづらさは依存症に匹敵するくらい大きな病気に近いものだと思っています。

自助グループがもっと広まってほしい

──今年は昨年と比べて女性の自殺者が増えたという報道がありました。それも孤独と関係していると思いますか?

高知:あると思います。僕は薬物で捕まって、それをきっかけに自助グループの仲間に出会えた。でもいちばん僕が大切だと思っているのはこの自助グループをいろんな分野で広めるべきだということです。依存症だけの自助グループではなく、生きづらさであったり、心の悩みを持っているそういう人たちが集まったりすることで話せることがある。

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