(第4回)金融面と実物面で世界的なバブルが拡大

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今回の金融・経済危機は、アメリカの住宅価格の高騰を軸に進展した。ケース=シラー指数で見るアメリカの住宅価格は、1999年ごろから上昇を始めていたが、2002年以降、上昇が顕著になった。その結果、主要20都市平均価格は、01年から06年までの間にほぼ2倍になった。ロサンジェルスでは、同期間で約2・5倍になった(ケース=シラー指数)。

住宅価格をこのように高騰させた原因は、一般には金融緩和だと考えられている。この議論の代表が、スタンフォード大学のジョン・テイラーによるものだ(『脱線FRB』、日経BP社、09年)。

金融緩和が行われたのは、一つにはITバブルの崩壊による株価下落に対処するため、いま一つには9・11テロの影響でアメリカ経済が後退する危険があったからだ。金融緩和を進めたのはFRB(連邦準備制度理事会)前議長のアラン・グリーンスパンであり、それを理論面で擁護したのが、現議長のベン・バーナンキだ。このため、2人は今回の金融危機の元凶であると非難されることが多い。バーナンキは反論しているが、データを見るかぎり、住宅価格と金利の相関は否定しがたい。

ただし、金利だけが原因でなかったことも事実だ。制度的にも、いくつかの点が指摘される。とりわけ目立つのは、「サブプライムローン」という低所得者向けのモーゲッジローンが新しく作られたことだ。これは借り入れてから数年後に金利が引き上がる仕組みになっていた。しかし、住宅価格が値上がりを続けるかぎり、借り換えによって金利上昇を回避できるので、問題は顕在化しなかった。

モーゲッジローンは、証券化を通じて資金調達される。したがって住宅価格の高騰は、モーゲッジを証券化した商品に対する投資のバブルと並行して進んだ。アメリカの住宅金融は、もともとはS&Lという小規模な地域金融機関が供給していたのだが、証券化で資金調達できるようになって、モーゲッジバンクという専門のノンバンクが発達した。こうした制度上の変化も、住宅価格に影響しているだろう。

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