「デジタル一辺倒」では雇用が生み出せない理由

「生命関連産業」が「ポスト・コロナ」構想の軸に

コロナ後の社会についての、ポジティブな視点からの展望を「生命を軸とする経済ビジョン」という観点から考えてみます(写真:adam121/PIXTA)
菅義偉首相が政策の旗頭にしている「デジタル」化。しかし、そもそもデジタル化は手段であって目的ではない。デジタル化によってどのような社会を目指すのかを本来問うべきものではないだろうか。
著書『人口減少社会のデザイン』で、AIを活用した2050年に向けての日本社会の持続可能性に関するシミュレーションの内容を紹介・分析した広井良典氏が、「ポスト・コロナ」における経済ビジョンを論じる。

AIが示唆する「ポスト・コロナ」社会の先へ

新型コロナをめぐる動きは予断を許さないが、“危機をチャンスに”という言葉があるように、コロナ後の社会についての、ポジティブな視点からの中長期的なビジョンがそろそろ求められる時期になっている。

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私はちょうど1年前に、『人口減少社会のデザイン』という本を上梓し、その中でAIを活用した、2050年に向けての日本社会の持続可能性に関するシミュレーションの内容を紹介した。

興味深いことにそのシミュレーションでは、東京一極集中に示されるような「都市集中型」か「地方分散型」かという分岐が、日本社会の未来の持続可能性にとってもっとも本質的な選択となり、しかも人口や地域の持続可能性、あるいは格差、健康、幸福といった観点からは「地方分散型」のほうがパフォーマンスがよいという結果が示された。

それは奇しくも、今回の新型コロナ・パンデミックで顕在化した「都市集中型」社会の危うさや脆弱性を、まるでAIが“予言”していたかのような内容だったので、私自身そのことに驚くとともに、それを踏まえて示唆される、コロナ後の社会のありようをめぐる諸課題や今後の展望について、去る5月の本オンラインで若干の考察を行ったのである(『AIは「新型コロナ禍の悪夢」を予言したのか』『コロナが露わにしたビッグ・データという幻想』)。

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