実は怖くない!「人口減少社会」の「希望の未来」 世界を「人間の顔をした」デザインに変える
日本をやさしさで処方する
―青々とした樹々のあいだから、木洩れ陽が差している。風がそよぎ、はらはらと葉が地面に落ちると、そこには木立の光と影。わたしたちは、空と大地のなかにあるのだ―。
まるで松任谷由実の「やさしさに包まれたなら」が流れてくるような読後感をもった。新しい未来が待っており、悲観しなくてもいいのかもしれない、という希望が訪れる。
「人口減少社会」という言葉を目にしたとき、暗雲垂れ込めるようなイメージを抱く人のほうが多いだろう。最近は、人口減少に対して、解決策の提示もなく警鐘を鳴らすだけ鳴らして、わたしたちの不安を過度にあおる文物も多い。そんなとき、どこかわが身を責められている気がして、そっとページを閉じてしまう。
どうしてこんなに苦しいのだろう。
そんな痛みとも嘆きともつかぬものが去来し、途方に暮れるわたしたちに、広井氏は「処方」を差し出してくれた。
決して誰かを怖がらせたり、不当に責めたりするのではない物言いで、的確に日本の進むべき道筋を示す。「処方」だから現状分析やその治療法には、ちょっとだけ傷の痛みや薬の苦みを感じる場面があるかもしれないが、定量・定性的な科学的データを基に、中長期的なスパンで見通した、極めて現実的で地に足のついた10の提言である。
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