AIは「新型コロナ禍の悪夢」を予言したのか

少極集中から分散型システムへの転換が急務

ニューヨークのセントラルパークには、野営の病院が設置されている(写真:Andrew Kelly/ロイター)
新型コロナは、日本そして世界の社会構造、とりわけ都市集中や格差・貧困の問題をこれまで以上にあらわにしているといえる。この構造は今後どうなっていくのか。
このたび『人口減少社会のデザイン』を上梓した広井良典氏が読み解く。

「コロナ後の世界」のビジョン

新型コロナウイルスの災禍で日本と世界の状況が一変した。今年の初めの時点で、誰がこうした事態の勃発と世界の変化を予想しただろうか。

『人口減少社会のデザイン』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

一方、新型コロナウイルス(以下単に「コロナ」等と略すことがある)をめぐる状況を受けてさまざまな「論」が世に出されているが、それらの多くはいささか時流に便乗した近視眼的なものか、逆に大雑把すぎる‟文明論”のいずれかであり、客観的な論証や中長期的な視座を踏まえた実のある洞察はまだ十分な形で提示されていないように思える。

本稿で論じたいのは、そうした問題意識を踏まえたうえでの‟「コロナ後」の世界”のビジョンにほかならない。

この場合、少々手前味噌に響くことを承知のうえで確認したいのは、そうした「コロナ後」の世界の構想は、私が昨年10月に公刊した『人口減少社会のデザイン』において、AIを活用した未来シミュレーションも踏まえながら、これからの日本そして世界のあるべき展望として論じた内容と大きく重なるものになるという点である。

それは端的に述べれば以下のような柱に集約される日本・世界の方向性だ。

(1)「都市集中型」から「分散型システム」への転換
(2)格差の是正と「持続可能な福祉社会」のビジョン
(3)「ポスト・グローバル化」の世界の構想
(4)科学の基本コンセプトは「情報」から「生命」へ

これらは、上記の拙著の中で強調した論点であると同時に、そのまま「コロナ後の世界」のビジョンとして本質的な柱となるものである。

特に(1)の「「分散型システム」への転換」については、私たちの行ったAIシミュレーションが新型コロナ・パンデミックのもたらす課題を“予言”していたのではないかと思われるほど、今回の感染拡大で明らかになった問題と重なっているのである。

この場合、重要なのは次の点だ。すなわち、「コロナ」の問題はそれだけが切り離されて存在するのではなく、むしろ私たちがいま生きている社会システムのありよう──都市への人口集中、格差の拡大、際限ないグローバル化、「スーパー情報化」の幻想──それ自体がさまざまな矛盾をはらんでおり、今回のコロナ禍は、そうした矛盾が一気に露呈した局面の1つにすぎないという認識である。

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