殺気立つ英語圏の人がアジア人に浴びせる罵声 「あぶない英語」が放たれたらとにかく逃げよ

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差別に走るのは少数派ですがアメリカなどにいる日本人は特に注意が必要です(写真:PeopleImages/iStock)
世界中がコロナウイルスの猛威にさらされる今、急速に「あぶない英語」が広まっています。英語には、使い方を間違えると酷い誤解や怒りを招き、たったひと言で人生を棒に振りかねない表現、セクハラ、パワハラ、差別と認識され大問題になる表現がありますが、それに加え、感染リスクに関するあぶない英語が飛び交っているのです。『あぶない英語』の著者、岩田雅彦さんが新型コロナウイルスで交わされる「あぶない英語」を解説します。

なぜChina virusと言い続けるのか

アメリカのトランプ大統領がコロナウイルスのことを "Chinese virus" とツイートし、炎上した(2020年3月)のは記憶に新しいところです。最初の発言は、

“The United States will be powerfully supporting those industries, like airlines and others, that are particularly affected by the Chinese virus.”
(わが国は中国のウイルスによって、特に影響を受けた航空会社などの産業を大々的に支援します)

とされています。

そして後日、再び、

I'd like to begin by providing an update on what we are doing to minimize the impact of the Chinese virus on our nation's students...
(中国のウイルスがわが国の学生に与える影響を最小限にするために取り組んでいる最新情報からお伝えします)

と発言しました。

会見で記者から、「なぜChina virusと言い続けるのか」と詰問されると、Because it comes from China.と答えました。トランプ大統領は人種差別ではなく、中国から来たからそう呼んだだけだと、"Chinese virus"を撤回しませんでした。

確かに、歴史的に見れば、病気には地名をつけるのが一般的でした(水俣病は熊本県水俣市、西ナイルウイルスはナイル地域、ジカ熱はウガンダのジカ森、スペインかぜはスペイン〔一番ひどかっただけで発生は他の地域ですが〕)。しかし、WHOはコロナウイルスの正式名称を"Chinese virus"ではなく、COVID-19としています。

それは、特定の国や地域と結びつけ、差別や偏見が生じないように配慮した結果です。テドロス事務局長と「ウイルスの発生場所にいまだ定説はない」と反撃した中国との蜜月関係を指摘する人もいますが、WHOは、名称について以前からそのような方針をとっています。事実、SARSにもエボラ出血熱にも特定の国名や地域名は入っていません。

ただし、今回のコロナウイルスパンデミックで、中国寄りのスタンスで感染を助長したWHOは、無用の長物であることが露呈されました。日本の行政も同様で、役に立たないと思っている人は多いことでしょう。では、こんなときに信頼できる情報筋はどこでしょう。

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