赤ちゃんを寝かしつけるときに、赤ちゃんの呼吸に合わせて呼吸するとすんなり眠りにつくことができるように、波長を合わせるために、私はカウンセリングのときに、なるべく相手との呼吸を合わせるようにしています。
とくに相談者の方が無言になったときには、場を共有しているという感覚を大切にするために意識していることの1つです。
沈黙が苦手で、相手が黙ってしまうと何か言わなくてはと焦る方が多いと思いますが、沈黙は、相手が自分の気持ちに向き合う大切な時間で、ゆったりと待つことが必要です(沈黙にもいろいろと意味合いがあります。こちらの言動により、相手を怒らせて沈黙されてしまったケースなどには当てはまらず、あくまでも通常のやり取りの想定です)。
相談を受けたときは、何よりもまず相手のペースに合わせることが大切です。無理に話させることや質問攻めにすることも避けましょう。
慰めのつもりでも、時に残酷な言葉に
カウンセリングを学び始めた20年も前の話ですが、自分自身の体験のためにカウンセリングを受けてみたことがあります。もちろん勉強とはいえ、そのときに本当に悩んでいることを話しました。
すると最後に「あなたよりもっと大変な思いをしている人はたくさんいます。それを思うとあなたの悩みは大したことないと思いますよ」とカウンセラーから言われたのです。本当にショックで今でも忘れられません。
大丈夫だよと、慰めのつもりでおっしゃったのでしょうか。しかし、比べられることのショックは予想以上に大きく、残酷な言葉だなと感じました。「あなたは、まだいいほうよ」「もっと苦しんでいる人がいる」、確かにそうかもしれませんが、当事者の悩みは、誰かや何かと比較できるものでは決してありません。そのときに受け入れてもらえなかった気持ちが絶望に変わることさえあると感じます。
また、「みんなと同じ」「みんなもそうだから」も同様です。人は、自分自身の思いや状況を唯一無二のものとして関わってほしいと願っています。同じような状況に見えても、決して同じ状況ではありません。感じ方も考え方も人それぞれです。その人自身の問題として、相手にフォーカスすることを大切にしてほしいと思います。
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