木村花さんを追い詰めた「匿名卑怯者」の深い罪 無責任にできる投稿がモラル意識を低下させた

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恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演中だったプロレスラー・木村花さんはなぜ22歳という若さで亡くなったのか――。写真は1月4日東京ドームにて(写真:日刊スポーツ新聞社)

5月23日未明、Twitterのタイムラインが騒がしくなっていた。恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演していたプロレスラー・木村花さんの様子がおかしいという話題だったが、その時点では詳細はわからなかった。

後になって知ったことだが、このとき、花さんは血だらけの手首の写真、謝罪と自虐の言葉、それに別れの言葉を発していた。異変を感じた花さんのフォロワー、元共演者や所属プロレス団体関係者などが、花さんの身を案じるツイートを発信していた。

詳細は明らかになっていないが、関係者が彼女を発見して消防署に通報。救急車に運ばれた花さんはぐったりとして呼びかけに反応する様子はなかったという。

花形女子プロレスラーの娘として生まれ育ち、母に憧れてプロレスラーへの道を歩んだ花さんは、スターレスラーへの道を着実に歩んでいた。それにもかかわらず、わずか22年でその命を自ら断つという道を選択せざるをえない精神状態へと追い込まれた。

彼女の死が明らかになると、花さんに対する一連の誹謗中傷、彼女が深く悩み、精神的に追い詰められたことが広く知られることになった。すると、今度は彼女を追い込んだとされる中傷メッセージを送っていた匿名の者たち、中傷の原因となっていた出来事の当事者、そして番組関係者などへの非難の声が相次ぎ、憎悪の連鎖が広がりつつある。

今回のような不幸はいつ起きても不思議ではない

ネットを通じコミュニケーションの力(プラスもあればマイナスもある)が増幅される中、今回のような不幸はいつ起きても不思議ではない。われわれができることは、花さんが置かれた状況を省みることで、少しでも不幸な連鎖を減らすことだろう。

本稿では、3つの切り口から話を進め、花さんが自らの命を断つこととなった状況について情報を整理したい。まずは、SNSというメディアの対称性と非対称性について、あらためて考えてみたい。次に、“リアリティー番組”という番組制作から見た切り口について。最後に自分や自分の大切な人の心を守るために必要な心構えについても言及する。

次ページ双方向メディアの「対称性」と「非対称性」
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