(第3回)アメリカの金融危機と日本経済の関係


 ABCP市場の収縮は、多くのファンドを窮地に陥れた。ユナイテッドキャピタルが7月11日までに活動を停止した。7月31日、ベアー・スターンズ傘下のヘッジファンドが破産法の適用を申請した。8月9日、フランスの大手銀行BNPパリバ傘下のファンドが閉鎖された。また、全米1位のモーゲッジローンの貸し手であるカントリーワイド・フィナンシャルが、資金調達できなくなった。

ヘッジファンドは、資産家や機関投資家などから投資を募り、自己資金をABCP借り入れで膨らませて投資を行っていた。ファンドの主催者は、個人用ジェット機を乗り回し、別荘とヨットを持つなどの豪勢な生活を送っていたのだ。

パリバのファンドが閉鎖された8月9日、CP金利もLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)も急上昇した。しかし、CPは多くの企業が日常業務の運転資金調達のために利用しているので、信用収縮は経済全般に悪影響を与える。このため欧州中央銀行(ECB)とニューヨーク連銀は同日、短期金融市場への大規模な資金供給を余儀なくされた。

急激な円高と株価下落が始まる

経済の変調は日本でも生じた。日経平均株価は、それまで1万8000円台で推移していたが、7月下旬から下落が始まり、1万7000円台になった。8月下旬には1万5 000円台にまで下落。その後持ち直したものの11月からまた下落した。

8月には、世界各国の株式市場で大嵐が吹き荒れたから、その影響といえなくもない。しかし、日本経済の基本に重大な影響を与える事態が、このときすでに生じていたのだ。

図に見るように、アメリカへの自動車の輸出はすでに06年の夏ごろから減少を始めていた。何らかの理由で、アメリカ国内の自動車販売台数が金融危機の勃発前から変調を来していたのである。

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