(第3回)アメリカの金融危機と日本経済の関係

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 アメリカ金融危機に関しては、すでに多数の書籍や報告が出されている。しかし、アメリカで出されたものは、当然のことながら日本経済についての言及はない。日本で出されたものも、アメリカにおける事態の推移を追うのが中心で、日本との関係を分析していないものが多い。

それだけでなく、アメリカの金融機関の問題に限っても、以上の説明だけでは、わからない点が多い。なぜ投資ブームが起こり、なぜ損失が発生したのか。金融機関は証券化商品の投資側、供給側のどちらだったのか? これらについて、十分な説明がなされているわけではない。

以上の疑問に答えることは、現在の世界経済と日本経済を理解するために、不可欠のことだ。これらに関する正確な理解がなければ、将来への戦略を立てることもできない。そこで、今回の金融・経済危機を、特に日本経済との関係を中心に、やや詳細に見ておくことにしよう。

2007年夏 金融危機が勃発する

金融危機が明らかになったのは、2007年の初夏である。

6月、スイスの金融グループUBSが設立したヘッジファンドであるディロン・リード・キャピタルが閉鎖された。アメリカの投資銀行ベアー・スターンズ傘下のヘッジファンドが経営危機とのうわさが広まった。

6月30日、アメリカのABCP市場が突然収縮した。CP(コマーシャルペーパー)とは、大手優良企業などが短期資金を直接に市場から調達するための手段だ。ABCPは保有する資産を担保とするCPである(通常のCPは無担保)。

CPの発行残高は、01年から04年まで1・2兆ドルから1・5兆ドル程度の水準で推移していたが、07年には2・25兆ドル程度にまで成長していた。ヘッジファンドなどがABCPで資金調達し、証券化商品に対する投資を拡大したためだ(07年でABCPが1・2兆ドル程度)。

しかし、ファンドが保有する証券化商品の格付けが急に引き下げられたため、資金の出し手は、資金を回収できなくなることを恐れてABCPの購入を拒否したのだ。

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