コロナ感染より「隔離・制裁」を怖がる人が多い 日本に蔓延する「奇妙な恐怖心」のほうが心配

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この人々の間に蔓延する「隔離・制裁恐怖」は、経済活動はもちろんのこと社会活動の大きな足かせとなり、多方面で悪影響を生じています。

内閣府が17日発表した2020年4~6月期の国内総生産(GDP)は前期比年率で28.1%減り、リーマン・ショックを超える戦後最大の落ち込みとなりました。エコノミストによると人々が国内の活動を制限していることだけで、毎日400億円が失われている計算になるそうです(参考記事『政府は「新型コロナの恐怖」政策を見直すべきだ』)。

解雇や雇い止めにあった人は9月11日時点でが5万8417人に上るとのことです(厚生労働省発表資料)。失業者が増えれば自殺が増加することは以前から懸念されていましたが、悲しいことに今年8月の全国の自殺者は前年同月比で246人、15.3%も増えて1849人となったことも判明したのです。例年8月は少ないのですが、今年は7月よりも54人増加しました。

経済への影響だけではありません。大学はクラスターの発生を恐れていまだにリモート授業のままのところが多く、苦しい受験勉強を経て晴れて大学生になったものの一度もキャンパスに行けず友達との交流もできない、実験や実習も画面で先生がやっているのを見ているだけという学生も少なくありません。

過剰な感染対策で子どもの教育に大きな支障

小・中・高等学校では運動会や文化祭、スポーツ大会といった主要行事が軒並み中止となっています。また過剰な感染対策を敷いている学校もあり、「給食中の私語禁止」「外遊び制限」「授業中の発言抑制」などが現在も行われており、子供たちの人間関係づくりに大きく支障を来しています。

このように子供、青少年、若者たちの重要な集団教育やコミュニケーション訓練の場がことごとく奪われており、筆者は精神科医として日本の近未来を担う若い世代の心身の健全な発育が阻害されていることを非常に危惧しています。

実際に8月18日に公表された国立成育医療研究センターの調査でも、「新型コロナウイルスのことを考えると嫌な気持ちになる」「集中できない」など何らかのストレス症状を抱えている子どもが72%に上ることが判明しています。また32%の子供が、「家族や自分がコロナになったら秘密にしたい」と答え、40%の子供が、コロナに感染し回復した人と「一緒に遊びたくない人が多いだろう」と答えたそう。大人だけでなく子どもたちまでが新型コロナによる差別を恐れ、偏見を抱えていることが明らかになっています。

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