従来の就職活動では、子どもの代わりに親が会社説明会や面接の予約を取ったり、合同企業説明会や個別企業の会社説明会に子どもと一緒に、あるいは親だけが参加したりというケースがなかったわけではない。ただ、さすがに対面式の面接に親が同席したという話は一度も聞いたことがない。今後、自宅から参加可能なWeb面接が主流となってくると、いずれは母親同席ではなく、母親が代理で受験という時代が来るのだろうか。
Web面接は自室で受ける学生が多く、部屋の様子から趣味嗜好が垣間見えることもある。このケースではアイドルグループの同じメンバーのポスターが部屋一面に貼ってあり、推しメン(応援しているメンバー)が面接官にもわかってしまったという作品。
自宅の中で白い壁を探したり、合成背景を設定したりする学生もいるようだが、面接官の側からすれば、自室でありのままを見せてくれると受け答えだけでは伝わらない、学生の人となりがわかり、良い面もあるのかもしれない。
Web面接では、面接の受け答え内容といった「言語情報」だけで判断せざるをえないケースが多くなるが、それだけではない「非言語情報」をどうやって取得するかがカギになりそうである。
心の距離が埋まらない
新型コロナウイルス感染拡大への対応として、選考過程のオンライン化が進む中、緊急事態宣言の発令期間が採用活動の本来のピークと重なり、今年は「一度も直接学生に会うことなく内定を出す」というケースが少なくなかった。
これまでのような対面式の面接であれば、「一緒に頑張ろう」と力強く握手したり、「期待しているぞ」と肩を軽く叩いたりなどのスキンシップもできたし、一緒に食事してじっくり話し込むこともできた。
そんなことが何一つできない、ただの画面越しの関係だけでは、「内定後フォローをしても心の距離が縮まっている感じがしない」と作者。やはりオンラインでのコミュニケーションの限界というのはあるのだろうか。心の距離を埋められない、採用担当者のもどかしく、切ない気持ちが表現されている作品である。
なお、この作者は次の作品でも佳作に入選している。こちらも共感できる採用担当者は結構多いのではないだろうか。
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