コロナで疲弊する医療者を救う手立てはあるか 子宮頸がんの予防が進まない現状にモノ申す

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病床稼働率を上げずに必要な医療をしても経営が回り、内部留保ができて、いきなり経営破綻にならないような診療報酬体系になったほうが持続可能では?

村井:おっしゃるとおりです。一方で、空きベッドがあっても儲かるシステムということは、空きベッドを埋めたらさらに儲かるということです。その部分をどうするか。まさにウィズコロナ、ポストコロナ時代の制度設計を行う必要があります。

:健康保険組合など健康保険事業の運営主体である保険者からは「今年は黒字になるかもしれない」という話もあります。今まで赤字を補填され続けていた保険者が、コロナ禍において果たす役割は?

村井:保険者の役割は今後一層重要になると思いますが、例えば開発中のワクチンが完成して量産体制が整った後、全国民へ迅速にワクチン接種を進めなければなりません。そのときに保険者が大きな役割を発揮するでしょう。

オンライン診療の果たす役割

:次にオンライン診療について教えてください。オンライン診療は今まで全然はやっていませんでしたが、コロナの影響によって認知され浸透してきました。

村井:オンライン診療は一部では行われてきましたが、患者さんが病院に行きづらくなってきた中で、利便性向上の観点から、特例で4月からは初診でも受けられるようになりました。

:一方で、個人的には、オンラインと対面は、同等の診療とは思えません。もともとオンライン診療にはどんな役割が期待されていたのでしょうか。

村井:オンライン診療は、通常の対面診療とは完全にイコールとは言えず、「患者の利便性の向上」「医療保険財政の影響」「医療の安全性の確保」という3つのバランスの中でどこまで認めるべきものかが検討されてきました。

:医療者のほうは病院に出勤しないとオンライン診療はできません。患者さんにとっては非常に利便性が高いでしょうが、医療者にとっては手間がかかって単位時間当たりに診られる患者さんの数がどうしても減る。その一方で、診療報酬も低めな設定です。

村井:今は7掛けですね。

:電話再診料になるから再診料が低いんですね。初診は電話再診料で、再診料以上のものとしては処方箋料が発生します。初診は安く3分の2です。オンライン診療は医療費を下げるのが狙いなのでしょうか。

村井:いえ、多くの政策担当者は、オンラインが進めば進むほど医療費は伸びると考えています。

:患者さんが気軽に受診できるから?

村井:はい。医療の世界は、供給が需要を生むという特殊なマーケットです。利便性が向上して需要が伸びることは悪いことではありませんが、コロナの状況が落ち着いたという前提で言うと、対面との兼ね合いでオンラインが進むぐらいの診療報酬のつけ方をすると、結果として医療を受ける人の数が増えてきて、総額は膨らむと考えています。

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