日本人の健康に「予防」の観点が欠かせないワケ 企業や地域を舞台とした仕掛けをどう作るか

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左から近藤尚己・東京大学准教授、うえの賢一郎・自民党衆議院議員(写真はいずれも本人提供)、山本雄士・ミナケア社長(撮影:今井 康一)
わが国の歳出の約3分の1を占める「社会保障」。これまで行われてきた「社会保障」に関する政策的な議論といえば、「給付を減らす」か「負担を増やす」の二者択一に陥ってしまう傾向があった。しかし、本当にそれしかないのか。そんな中で立ち上がった「明るい社会保障改革推進議員連盟」。「給付削減か負担拡大か」――国民にその選択を迫らずに改革はできるのか。
「明るい社会保障推進議員連盟」アドバイザーという中立な立場から、主要メンバーと識者との対談を全5回で企画。2回目は同議連の会長を務めるうえの賢一郎・自民党衆議院議員と、ミナケアの山本雄士社長、東京大学の近藤尚己准教授が健康経営や街づくりなどについて議論した。(取材はZoomで2020年6月25日に実施)

コロナ禍、社会を変えるきっかけに

山本雄士(以下、山本):今年の3月ごろから日本国内でも感染者が拡大し始めた新型コロナウイルスがもたらした影響は甚大でした。緊急事態宣言が解除された今なお心配な状況が続きます。このような中ではありますが、うえのさんは衆議院議員として、このコロナ禍の状況、そして、新型コロナウイルスが社会にもたらした影響について、どのように受け止めていますか。

うえの賢一郎(以下、うえの):一言でいうと、私はこれを社会を変えていくきっかけにすべきだと思っています。

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とくに、行政のデジタル化を進めるべきということは論を俟(ま)たないでしょう。今回、政府は、緊急経済対策として、対象者1人につき10万円を支給する「特別定額給付金」や、コロナの問題で収入が減った中小企業に最大200万円を払って支援する「持続化給付金」を給付することを決めました。

しかし、これが必要な人や企業に行き届くまでに相当な時間を要しています。なぜ、こんなことが起こるのか。旧態依然とした行政の事務に問題があります。行政のデジタル化が遅れており、オンラインで手続きをすることができないからです。政府や自治体はもっとデジタル化によってイノベーションをもたらす「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を進めていかなければなりません。

この課題は、医療・社会保障分野にも共通します。医療・社会保障分野でもやはりITインフラへの投資は十分ではなく、デジタル化が遅れています。患者さんのことを、紙のカルテではなく電子カルテで管理をすれば、患者さんが過去どのような治療を受けたか忘れてしまったという場合も速やかに情報を取り出せ、患者さんが違う診療科にかかったという場合も速やかに情報を共有できます。もちろん、個人情報の取り扱いには十分注意を払わねばなりませんが、こうした個人の健康にかかわるデータを使うことで、国民の健康管理を効率的、効果的に行うことができるようになると思っています。

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