孤立や生活困窮を社会的に救う手立てはあるか

加藤勝信厚労相「社会的システムを作り上げる」

加藤勝信・厚生労働大臣(左)と京都大学大学院の近藤尚己教授(写真はいずれも本人提供)
わが国の歳出の約3分の1を占める「社会保障」。これまで行われてきた「社会保障」に関する政策的な議論といえば、「給付を減らす」か「負担を増やす」の二者択一に陥ってしまう傾向があった。しかし、本当にそれしかないのか。そんな中で立ち上がった「明るい社会保障改革推進議員連盟」。「給付削減か負担拡大か」――国民にその選択を迫らずに改革はできるのか。
「明るい社会保障改革推進議員連盟」アドバイザーという中立な立場から、主要メンバーと識者との対談を全5回で企画。最終回は同議連の顧問を務める加藤勝信・厚生労働大臣に、公衆衛生の研究者である京都大学大学院の近藤尚己教授(医学研究科社会健康医学系専攻国際保健学講座社会疫学分野)が、新型コロナウイルスに対する政府の対応や、社会保障のあり方について聞いた。(取材はZoomで2020年7月29日に実施)

コロナ対策、持続可能な体制が必要

近藤 尚己(以下、近藤):新型コロナウイルスの新規感染者数(検査陽性者数)は7月後半以降、全国で1日1000人を上回る日が続き、国民の間で緊張感が高まっています。

加藤 勝信(以下、加藤): 4月前半をピークとした第1波よりも、新規感染者数の水準は高くなってきています。ただ、年代別に見ると第1波は60代以上の感染者が多かったのに対し、今回は60代以下、特に20代・30代の感染者が多く、重症者の発生数も低い水準に収まっています。また、前回の経験を踏まえて各地域で感染拡大に備えた医療提供体制が敷かれています。

しかし、空き病床の数字だけに着目すると、実態を見誤る場合があります。病床が使えても、そこに人を充てなければ医療サービスは提供できないからです。今後さらに感染者が増えていくことを想定した病床の確保も必要になってきます。長期間にわたり感染症の対応をしている医療従事者の皆さんが、強いプレッシャーの中で頑張っていることを十分考えながら、持続可能な体制を敷いていく必要があります。

近藤:とはいえ、今回の新規感染者の増大に対して、第1波の時のような緊急事態宣言の発令などによって国民に自粛を促して積極的に抑え込むのか、それとも経済活動を優先するのかなど、具体的な方針が政府からの明確なメッセージとして国民に伝わっていないように感じます。

加藤:政府の発信内容がわかりづらく、「どっちに向かっているのかわからない」という指摘も頂いていますが、感染防止を図りつつ、経済活動を高めていくことが、国民の生活と暮らしを守っていく上で必要であると考えています。

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