コロナ対応の医療サービスの提供体制
宋 美玄(以下、宋):まず、医療現場の窮状についてお話しさせてください。今の医療現場は新型コロナウイルスの感染拡大への対応や、世間の心ない中傷などによって疲弊しています。加えて深刻なことに病院の経営が成り立たなくなってきています。
村井 英樹(以下、村井):コロナ患者を診ていない病院においても、院内感染のリスクを恐れて受診を控える患者が多くなっています。
宋:私の知る、ある病院の経営者は緊急事態宣言が発令されていた今年4~5月の赤字が4億円にも上ったと話していました。
厚生労働省はコロナ重症者を受け入れた病院に対する診療報酬を通常の3倍にしました。4月に報酬を倍増させた措置をさらに強化した格好ですが、このコロナファイトマネーは病院の赤字額をまるで賄えない、ごくわずかな金額でしかありません。
病院はコロナに対応してさまざまな医療資源やベッドの予備を確保しておかなければならないのに、それに対するインセンティブがなく、コロナ患者を診ている病院がコロナ患者を診れば診るほど赤字になっています。
これらが典型的に現れているのは、東京女子医科大学病院(東京都新宿区)でしょう。新型コロナの診療にあたっている医師、看護師などの医療スタッフに対して、大学は夏のボーナスをゼロにする方針を示し、これに対して、約400人の看護師が一斉に退職の意向を表明したと報じられるなど、騒動になりました。
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