コロナで疲弊する医療者を救う手立てはあるか 子宮頸がんの予防が進まない現状にモノ申す

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村井英樹・自民党衆議院議員(左)と産婦人科女医で医学博士・性科学者の宋美玄氏(写真はいずれも本人提供)
わが国の歳出の約3分の1を占める「社会保障」。これまで行われてきた「社会保障」に関する政策的な議論といえば、「給付を減らす」か「負担を増やす」の二者択一に陥ってしまう傾向があった。しかし、本当にそれしかないのか。そんな中で立ち上がった「明るい社会保障改革推進議員連盟」。「給付削減か負担拡大か」――国民にその選択を迫らずに改革はできるのか。
「明るい社会保障推進議員連盟」アドバイザーという中立な立場から、主要メンバーと識者との対談を全5回で企画。3回目は同議連の幹事を務める村井英樹・自民党衆議院議員と、産婦人科女医で医学博士・性科学者の宋美玄氏が、新型コロナウイルスの対応で疲弊する医療現場への対応策、オンライン診療の果たす役割などについて徹底的に議論した。(取材はZoomで2020年7月9日に実施)

コロナ対応の医療サービスの提供体制

宋 美玄(以下、宋):まず、医療現場の窮状についてお話しさせてください。今の医療現場は新型コロナウイルスの感染拡大への対応や、世間の心ない中傷などによって疲弊しています。加えて深刻なことに病院の経営が成り立たなくなってきています。

村井 英樹(以下、村井):コロナ患者を診ていない病院においても、院内感染のリスクを恐れて受診を控える患者が多くなっています。

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:私の知る、ある病院の経営者は緊急事態宣言が発令されていた今年4~5月の赤字が4億円にも上ったと話していました。

厚生労働省はコロナ重症者を受け入れた病院に対する診療報酬を通常の3倍にしました。4月に報酬を倍増させた措置をさらに強化した格好ですが、このコロナファイトマネーは病院の赤字額をまるで賄えない、ごくわずかな金額でしかありません。

病院はコロナに対応してさまざまな医療資源やベッドの予備を確保しておかなければならないのに、それに対するインセンティブがなく、コロナ患者を診ている病院がコロナ患者を診れば診るほど赤字になっています。

これらが典型的に現れているのは、東京女子医科大学病院(東京都新宿区)でしょう。新型コロナの診療にあたっている医師、看護師などの医療スタッフに対して、大学は夏のボーナスをゼロにする方針を示し、これに対して、約400人の看護師が一斉に退職の意向を表明したと報じられるなど、騒動になりました。

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