日本の社会保障に根本的な改革が求められる訳

世耕弘成「制度や財源に議論が集中しすぎだ」

世耕弘成・参議院自民党幹事長(左、写真:本人提供)とミナケアの山本雄士社長(右、撮影:今井康一)
わが国の歳出の約3分の1を占める「社会保障」。社会保障とはそもそも病気やけが、障害や老化などによって貧困に陥った人を救う「支え合い」の仕組みだ。近年の歳出増は、高齢化に伴う医療や介護などへの支出によるところが大きく、保険料だけでなく、借金や税金もその財源となっている。
2018年度の国民医療費は約43兆円にも達する。子供の教育や科学技術の振興に用いられた文教予算はおよそ5兆円にすぎないことを考えれば、医療費の適正化は必須の課題ともいえる。しかし、これまで行われてきた「社会保障」に関する政策的な議論といえば、「給付を減らす」か「負担を増やす」の二者択一に陥ってしまう傾向があった。しかし、本当にそれしかないのか。「給付を減らす」か「負担を増やす」と言われたら、私ではなくとも老後が心配になる人は多いだろう。
そんな中で立ち上がった「明るい社会保障改革推進議員連盟」。世耕弘成参院幹事長、加藤勝信厚生労働大臣が顧問を務めるこの議連は、給付削減か負担拡大かというこれまでの議論とは一線を画す改革を提案するという。
「議連」といえば、たばこ議連やはんこ議連など特定の業界団体の利権確保のための議員集団というイメージが強いが、近年は自民党の政策形成の主戦場であった政務調査会の「部会」と同様に、政策形成に影響力を持つという。「給付削減か負担拡大か」――国民にその選択を迫らずに改革はできるのか。「明るい社会保障推進議員連盟」アドバイザーという中立な立場から、主要メンバーと識者との対談を全5回で企画した。1回目は世耕弘成参院幹事長にミナケアの山本雄士社長が社会保障への疑問をぶつけた。(取材はZoomで2020年7月2日に実施)

コロナ禍の日本は比較的早期に現金給付が行き渡った

山本雄士(以下、山本):世耕さんは参議院自民党幹事長として、日本におけるコロナ禍の状況や政府の一連の対応について、どのように評価していますか。

世耕弘成(以下、世耕):日本は、社会全体が協力して、ほかの国に比べると極めて影響が少ないレベルでコロナの第1波を抑え込むことができました。外出自粛やマスクの着用、手洗い・うがい・消毒の徹底など、感染予防に効果のある生活習慣をしっかり続けた国民の努力の賜物です。

全5回でポストコロナの社会保障改革に迫ります(上の画像をクリックすると公開中の連載記事一覧にジャンプします)

経済的な対応についても、コロナの問題で収入が減った中小企業に最大200万円を払って支援する「持続化給付金」や対象者1人につき10万円を支給する「特別定額給付金」が振り込まれた対象者から「非常に助かっている」という声を聞きます。資金繰りに苦しむ中小企業への金融機関からの融資についても、今まででは考えられないレベルで円滑に行われています。日本でもマイナンバーは国民全員に割り振られていますが、普段から国民生活に浸透しているとは言えない状況にもかかわらず、比較的早期に現金給付が行き渡ったと思います。

一方で、コロナの影響で落ち込んでしまった経済を正常な状態に戻していかなければなりませんし、コロナは第2波、第3波の到来が予想されていますので、そこに向けて検査体制の拡充や病床数の確保などを引き続き行っていく必要があります。

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