コロナで疲弊する医療者を救う手立てはあるか

子宮頸がんの予防が進まない現状にモノ申す

:例えば、OTC(Over The Counter、大衆薬)で痛み止めや花粉症の薬などを買っていたのを、オンライン診療で処方薬を入手することができると、患者の自己負担が減るため医療費は拡大するとみんな思っています。薬をOTC化していこうという流れとは逆行します。

村井:コロナの状況下では利便性を高めなくてはいけないし、受診抑制を起こしてはいけませんが、医療の安全性という側面も忘れてはいけません。お医者さんの声を聞くと、オンライン診療について「再診は原則OKだが、初診は対面でやったほうがよい」という方も多いですね。

:立地を考えて医療機関をつくったけれど、地域を越えて受診できるようになることで、全国のお医者さんがライバルになるというのは脅威です。でも、もし初診対面の原則がずっとあったら、地域的な患者さんの囲い込みのような今の形は変わらず、自由競争が起こりづらい状況のままにはなりますよね?

一度も会ったことのない人にオンライン診療できるか

村井:医療サービスに一定の競争は必要ですが、一度も直接会ったことのない人を初診からオンラインで診療するというのは「医療の安全性との関係でどうなんだ?」という議論はあるでしょう。

どのようなときにオンライン診療が医療の安全性との関係でOKなのか、ルールづくりに早く取り組まなければなりません。そのうえで、もう1つの視点である医療保険財政とオンライン診療の点数の話が出てきます。

:点数が高ければ、どんどんオンライン診療にシフトしていき、医療費も上がっていく。でも日本は、諸外国に比べると費用も安く、医療へのアクセスがよい国です。オンライン診療に移行していくことによって供給と需要が増え、気軽に医者に行く人が増えると、医療機関がフル回転している現在よりも、さらに酷くなりそうです。

村井:点数の議論だけではなく、オンライン診療が普及していくことを見据えて、かかりつけ医の一層の推進など医療提供体制自体を組み直さなければなりません。

:医療においては、ずっと同じかかりつけの先生に診てもらうことがよいというイメージがあります。同じ先生にかかり続けるための利便性をオンラインで補完できるとよいですね。

村井:はい。かかりつけ医の先生であれば、オンライン診療であっても、医療の安全性が担保されやすいということだと思います。

:最後に私が大きな問題意識を持っている子宮頸がんについてお話しさせてください。子宮頸がんは20〜30代の若い女性がかかる病気で、日本では年間1万人が発症し、約2800人が毎年亡くなっています。

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