日本人は医療費増大の本質をわかっていない 抑制狙うなら効果的な予防を推進すべきだ
日本の医療・社会保障制度はこのままで大丈夫なのか?
菅原 一輝(以下、菅原):日本の医療費の増大が指摘されています。このままで、日本の医療・社会保障制度は大丈夫なのでしょうか。
佐藤 啓(以下、佐藤):日本の社会保障は、「中福祉・低負担」だといわれています。つまり、国際的にみて中程度の福祉を、低い国民負担で実施しています。不足する財源を赤字国債で補いながら社会保障制度を維持しているのが現状です。今後も社会保障制度を維持していくためには、この「中福祉低負担」をどうやって解消していくかが課題になります。
津川 友介(以下、津川):国際的にみてみると、医療費の抑制に成功している先進国はほとんどありません。なぜなら、医療費というのは、事前にどれくらい支出するかを決められるものではなく、人々が病気になった結果としてかかる費用だからです。
1990年代初めのイギリスのように、医療費を無理やり低すぎる水準に設定すると、がんの手術の待ち時間が極端に長くなるなど、国民の健康に悪影響を及ぼすようになり、いずれ政治的に対応せざるをえなくなります。私は医療費の抑制は、最も難解な政治課題だと言って過言ではないと思います。
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