身近にいる大切な人を傷つけていないか
その他、怒りの感情には「身近なところへ向けやすい」という性質がある。怒りが身近なところへ向かいやすい理由は、「身近なところにいる人は、コントロールしやすい」という思い込みがあるからだ。
例えば、政治や経済などに対する不満は、自分の力ではどうにもならないと簡単にあきらめるもので、実際に抗議行動などをしにくいものだが、自分の家族や職場の部下などに対しては、要望や理想を怒りの感情と共に強くぶつけてしまいがちである。
ある休日、虫の居所の悪い妻が、テレビばかり観ている夫に対し、「ゴロゴロしているぐらいだったら、お風呂掃除くらいしてよ」と責め立てることがある。夫は夫で、翌日会社でちょっとした失敗をした部下に「なんでお前はダメなんだ!」と腹いせのような叱責をすることがある。
では、腹の虫が収まらなくなった部下はどのような行動をとるだろう? 恋人に当たりちらすかもしれない。こうして、怒りは身近なところから連鎖していく。まさに負の連鎖だ。
怒りによって、自分の身近にいる最も大切な人を傷つけないようにしよう。そのためには、「6秒数えて」冷静になり、自分の今の怒りの状態を「点数化」しよう。点数化したら、怒りの状態に応じた「正確な表現」を「ボキャブラリー化」しておきたい。怒りは、ONかOFFだけでないこと、「キレル or キレナイ」だけでないことを意味する。
「キレタ、スイッチオン」で、「制御不能な怒り」を繰り返していては、いつか取り返しのつかない大失敗をする。「キレル」以外の怒りのボキャブラリーをたくさん知っておくことは、強く怒りすぎない冷静な判断を導くだろう。
ピタゴラスは、「怒りは無謀をもって始まり、後悔をもって終わる」と述べている。無謀な怒りで深く後悔しないよう、自分の怒りレベルを分別できるようにしておきたい。詳しくは、拙著『パワハラ防止のための アンガーマネジメント入門』をご一読いただきたい。
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