日本ではコロナよりも恐慌を招くほうが怖い

第2波では緊急事態宣言を避けて冷静な対策を

第1波ではさまざまな需要が消滅したものの、倒産と失業は抑制できたため、宣言解除とともに経済活動は回復に向かうことができた。しかし、第2波で活動制限を行ったら、さすがに企業の資金繰りも行き詰まり、倒産と失業が急増することになる。こうなると、緊急事態宣言が解除されても内需減少に歯止めがかからず、本格的な恐慌シナリオに向かってしまう。

緊急事態宣言が社会不安や経済的困窮を助長し、かえって新型コロナによる死亡者を上回る自殺者などの増加につながりかねない。第1波における緊急事態宣言は、戦うべき敵についてほとんど情報がない段階での一時凌ぎの方策であった。財政面からも企業と家計の体力からも、何度も使える対策にはなりえない。

第2波を迎える前に、新型コロナ対策の枠組みを経済や日常生活とのバランスを考えたものに見直すべきだ。具体的には、以下の3点を提案したい。

第1:判断基準を感染者から死亡者へ

第1は、新型コロナ対策を決める判断基準を、感染者から死亡者に変更することである。

これまで政府が新型コロナ対策を打ち出す際に参考にしていたのは、主に感染者の動向である。4月7日に緊急事態宣言が発動されたのは、感染者数が増加の一途をたどったからであった。5月25日に緊急事態宣言が全面解除されたのも、「直近1週間の新規感染者数の累計が人口10万人あたり0.5人程度以下」という基準を達成したからだ。第2波に対しても、同様の感染者基準が設定される可能性が高い。

しかし、感染者を中心に据えた政策決定は不適当だと思われる。最大の問題は、新型コロナでは感染しても発症しない不顕性感染が多く、日々の感染者集計が真の感染者数を正しく反映していない点にある。新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の5月29日付資料によれば、「次なる波に備えた検査体制のさらなる強化」を行うという。

しかし、各国の状況をみると、検査数が増えるほど感染者数も増加するという関係にある。これは、検査体勢を強化するほど、多くの不顕性感染者を見つけ出すからである。結局、検査数が感染者数を左右してしまい、判断の基準点がわからなくなってしまう。

国民にとっていちばん重要な情報は、死亡者の動向である。

一般的に、「死亡者数=人口×感染率×致死率」という算式が成り立つため、本来、感染者は最終目標である死亡者の最小化を達成するための中間目標という位置付けである。しかし、新型コロナでは不顕性感染が多いため、感染者数は中間目標としての役割をまったく果たしていない。それなのに、感染者数に基づいて新型コロナ対策を決めるのは、国民の厚生に資するものと言いがたいのではないか。

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