日本ではコロナよりも恐慌を招くほうが怖い 第2波では緊急事態宣言を避けて冷静な対策を

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新型コロナの死亡者は米欧諸国に比べて少ないだけでなく、毎年流行する季節性インフルエンザによる死亡者をも大きく下回っている。50歳代まではほとんど亡くならず、高齢化に伴い死亡率が急上昇するという年齢パターンは両者同じだが、全体的に新型コロナの死亡率のほうが低い。2018年にはインフルエンザで3325人が亡くなったが、新型コロナによる死亡者数はその4分の1という規模だ。

こうした情報から判断すると、新型コロナは決して脅威のウイルスというわけではなさそうだ。もちろん、高齢者での死亡率は比較的高いため、感染予防や重症化対策は不可欠だが、データを見るかぎり、若年層にとって新型コロナはリスクの低いウイルスといって差し支えない。

活動制限でリーマンショックを上回る景気後退に

2つ目は、新型コロナ対策としての活動制限が社会に甚大なマイナスの影響をもたらしたことである。経済面の影響では2008~2009年のリーマンショックを上回る景気後退に陥っている。

緊急事態宣言が発動された4月の鉱工業生産は前年同月比マイナス14.4%の減少となったほか、小売り販売額も同マイナス13.7%の落ち込みである。外食産業でも、ファミリーレストランの売上高が同マイナス59.1%減、喫茶店が同マイナス72.4%減となった。テーマパークや映画館などはさらに厳しく、売り上げゼロの世界に変わった。

国全体の経済活動水準も大幅に低下した。インバウンド需要や財輸出といった海外需要も下押し要因として働いているものの、最も経済を押し下げたのは活動制限に伴う国内需要の減少である。

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