5月31日時点の新型コロナによる死亡者は891人。これが社会的に許容される範囲内かどうかが問題なのに、この点がほとんど議論されていないように思われる。結果から言えば、新型コロナ第1波による死亡者は、季節性インフルエンザよりもかなり少なかった。
さまざまな死亡リスクと比較考量しつつ、新型コロナによる死亡者数の臨界値を決め、感染者偏重の新型コロナ対策から脱却すべきである。死亡者が許容範囲内に収まっているのであれば、信頼性に乏しい感染者数を重視する必要はなく、過度の活動制限も不要である。かえって他の要因による死者数を増やしてしまう可能性があるからだ。
第2:指定感染症の解除
第2は、指定感染症の解除である。
政府は1月28日、新型コロナウイルスを感染症法で定める「指定感染症」に指定した。これにより、新型コロナの感染者を強制的に入院させたり、就業を制限したりできるようになった。当時は中国武漢での死亡者急増が報道され、世界的な感染拡大が懸念された時期であり、指定感染症の指定は当然の対応であった。
しかし、当時から状況は大きく変わった。まず、米欧と違って日本人の死亡率は非常に低く、新型コロナの危険性が季節性インフルエンザと大差ない可能性が高まった。新型コロナに感染して「入院治療等を要する者」も累計1484人にすぎない。
少なくとも、感染症法第6条の「当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある」には該当しないという印象である。さらに、感染しても症状が出ない不顕性感染が多いことも分かった。そのため、元気な感染者まですべて入院・隔離させてしまうと、かえって院内感染を拡大させる可能性を高め、医療崩壊を招きかねない。
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