トヨタ自動車がアメリカで自動車メーカーの先陣を切って、5月11日から現地生産活動を再開した。
トヨタは新型コロナウイルスの感染拡大を受け、北米にあるすべての完成車と部品の工場で操業を3月23日に停止していた。影響はアメリカで9カ所、カナダで3カ所、メキシコで2カ所の計14工場に及んだ。トヨタは「工場やラインによって再開日は異なり、段階的に再開をしていく」(広報)とするが、約50日ぶりの稼働にこぎつけたことになる。
従業員はマスク着用や検温に加え、作業中は約1.8メートル以上の距離を保ち、勤務交代時の休憩時間を伸ばして従業員同士の接触を減らすなど、最大限の感染防止策を講じるという。
再開のタイミングはホンダと同着になったが、ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の「ビッグスリー」より先んじる形になった。
ドル箱市場での販売回復に備える
トヨタにとってアメリカは年間約240万台を販売する最大市場で、1国で同社世界販売台数の4分の1を占める。しかも、販売の6割以上はSUV(スポーツ用多目的車)やピックアップトラックといった大型車だ。高級ブランド「レクサス」は世界販売の4割、年間30万台近くがアメリカで売れている。台数以上に利益貢献度は高く、まさにトヨタにとってのドル箱市場だ。
新型コロナ対策のロックダウン(都市封鎖)や外出制限の影響を受け、全米に約1500あるトヨタの販売店のうち、今も3分の1に当たる約500店舗が営業休止を余儀なくされている。開いている店舗も客足が途絶え、トヨタの4月の現地新車販売は前年同月比で54%も落ち込んだ。
しかし、トヨタは6月から徐々に販売が上向くと見ている。「アメリカは買い替え需要も分厚く、販売店が開きさえすれば、ある程度の台数は売れるはず。地域によって感染状況は違うので、州ごとにきめ細かく対応する必要がある」(トヨタ幹部)。
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