携帯電話大手3社の2020年3月期決算が5月14日、出そろった。
本業の儲けを示す営業利益はKDDIが1兆0252億円(前期比1.1%増)、ソフトバンクは9117億円(同11.4%増)と数字を伸ばし、共に過去最高だった。一方、「料金値下げ」を敢行した最大手のNTTドコモは前期比15.7%減の8546億円だったが、当初の計画を上回る着地だった。
KDDIとソフトバンクが微増益の見通し
いずれの業種でも3月期企業の場合、コロナ禍の中で注目されるのは今期(2021年3月期)のほうだが、ソフトバンクは営業利益を0.9%増の9200億円、KDDIは同0.5%増の1兆0300億円とする業績予想を発表した。ドコモは「コロナ影響により合理的な算定が困難」として業績予想を出さなかった。
ソフトバンク、KDDIの2社の今期の営業利益予想は微増ではあるものの、コロナの収束がいまだ見通せず、長期化する恐れがある中で「前期以上」の方向感を示したことに意味がある。
特にソフトバンクの宮内謙社長は「増収増益を何としてでも継続する」と述べ、必達への自信を見せた。同社は予想の前提として、コロナによって人の接触を7~8割減らさなければいけない状況が半年間続くシナリオを織り込んでいるという。
KDDIの髙橋誠社長は予想の前提を具体的に明言しなかったが、「大きな影響があると見ている」と述べ、こちらも保守的に織り込んでいることを示唆した。ドコモの吉澤和弘社長は今期の業績については、「2020年3月期ぐらいの水準を維持したい」と話した。
コロナ禍で多くの業界が厳しい状況にあるのに対し、携帯業界が堅調な業績を維持できるのは安定的な通信収入が基盤にあるうえに、他業種ほど営業自粛の影響を大きく受けない構造である点が大きい。
「不要不急の来店は、ウェブ(オンライン)でお願いします」。大手3社は4月以降、多くの携帯ショップの営業時間を、午後4時や午後5時など夕方までにしたうえで、CMやホームページでこのような趣旨の呼びかけをしている。
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