携帯大手「時短営業」でもそんなに痛くない理由 KDDIとソフトバンクはコロナ禍でも増益予想

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柱の通信収入は、プラス要素とマイナス要素が混在するものの、比較的堅調に推移しそうだ。まず、在宅時間の増加により、自宅に光回線やWi-Fiなどのネット環境がある人の携帯のデータ通信量は減るが、そういった環境にない人のデータ通信量は増加する。そのプラスマイナスは現状、拮抗している模様だ。

他方、ドコモやKDDIは今期、既存の契約者の割引適用額(過去に獲得した契約での割引期間の終了)の減少などで採算性が改善することが、客単価の押し上げ要因になりそうだ。

ソフトバンクの宮内社長は強気な姿勢を示す(写真は2019年5月のもの、撮影:梅谷秀司)

2020年3月期に携帯契約者数が前期比9%増となったソフトバンクは、コロナ影響を受ける2021年3月期も契約数の増加は続くと見られる。ソフトバンクの宮内社長は「通信事業は強含みでいけると思っている」と話す。

また、通信サービスの周辺事業としては、外出自粛を商機にコンテンツサービスの利用者増にも期待がかかっている。「巣ごもり需要がある中でコンテンツは伸びている。実際にOTTのバンドルプラン(ネットフリックスとのセットプランなど)が好評で、そういうプラス要素がある」(KDDIの髙橋社長)。

コロナ長期化で客離れに警戒

むしろ、大手3社にとって心配の種は足元の業績よりも、コロナの影響が長期化し、通信料金の負担増を感じたユーザーが離れることにありそうだ。

総務省の家計消費状況調査によると2019年度の家計支出(世帯人数2人以上)に占める携帯電話の通信料金は月額平均で1万3205円に達している。コロナで経済的に困窮する人がいる中で3社とも目下、通信料金の支払い期限の延長などの措置を取っている。

コロナショックに直面した企業の最新動向を東洋経済記者がリポート。上の画像をクリックすると特集一覧にジャンプします

今後、コロナ不況の影響が大きくなれば「通信料金のカットを考えざるをえなくなり、格安スマホや割安プランへの変更を検討する人が増えていくおそれもあるのではないか」(ソフトバンク関係者)という懸念はある。

通信業界は現在のところ、他業界と比べれば恵まれた状況にあるのは間違いないが、大きなダメージが遅れてやってくるかもしれない。

奥田 貫 東洋経済 記者

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おくだ とおる / Toru Okuda

神奈川県横浜市出身。横浜緑ヶ丘高校、早稲田大学法学部卒業後、朝日新聞社に入り経済部で民間企業や省庁などの取材を担当。2018年1月に東洋経済新報社に入社。

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