携帯大手「時短営業」でもそんなに痛くない理由 KDDIとソフトバンクはコロナ禍でも増益予想

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通信契約の手続きは複雑なため携帯ショップでの対面手続きは元々、1時間以上かかることが多く、ショップスタッフの感染者も相次ぐ。携帯各社は店内での感染を防ぐための措置として時短営業をしている。

ドコモとソフトバンクは店頭での受け付け業務も必要最小限のものに限定することで、来客数と接客時間を減らしている。

3社は5月14日に39県で緊急事態宣言が解除されたことを受け、当該地域のショップに関しては営業時間や受付業務を通常通りに戻すなどの対応に入った。ただ、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県などショップ利用者数の多い8都府県はまだ緊急事態制限下にある。解除地域でも多くの利用者が外出自粛を続けているうえ、コロナの第2波が押し寄せれば再び時短営業などに戻る可能性がある。

結果として、携帯電話の販売台数は大きく落ち込むことになり、物販の収益は厳しくなる。

KDDIは大手3社の中で唯一、auの端末販売台数の見通しも公表しているが、今期は760万台と、前期の838万台から9.3%減を見込む。ドコモ、ソフトバンクの端末販売台数などの物販も同様に軟調とみられる。ドコモによると4月のショップへの客数は約7割減という。コロナ影響が長引くほど、販売台数の減少幅は当然大きくなる。

販売代理店は厳しい状況に

ただ、この事態が携帯3社に大打撃を与えるわけではなさそうだ。携帯ショップの直営店は1%未満で、99%以上を販売代理店が経営する。飲食店などが客数減による減収下でも減らない家賃などの固定費や、店頭スタッフの人件費に苦しんでいるのに対し、携帯大手3社ではこうしたコストの負担はごくわずかだ。

また、店頭での機種変更など種々の手続きに対して、携帯各社は代理店に手数料を支払っているが、利用者がオンラインで手続きを済ませれば、こうした費用も圧縮できる。携帯各社はコロナ前から、オンライン推進によるコスト効率化を掲げてきた。今回のコロナを機会に、オンライン手続きに慣れる利用者が増えれば、各社の狙う方向に前進することにもなる。実際、ドコモによると足元ではオンラインの手続きが大幅に増えているという。

他方、販売代理店の今期業績は厳しいものになりそうだ。ある代理店関係者は「携帯会社は利用者に対して基本的にお店に行かないでくださいと言っているが、それでもわれわれはその携帯会社の指示に従ってお店を開け続けている。だが、今のところ何らかの補償があるわけでもない」と不満をこぼす。

携帯3社にとっては、競争が停滞することでの恩恵もありそうだ。平常時は端末値引きや種々のキャッシュバック、キャンペーンを展開しているほか、最安値を連呼するテレビCMを大量に流している。

だがコロナ下での自粛によって、こうした販促費は抑えられる。それでも、ライバル他社でも販促費をたっぷり使った攻勢をかけられない状況は同じであるため、むしろ利用者を他社に奪われるリスクは低くなっている。

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