テレワーク時代でも「名刺交換」が消えないワケ 拡大するオンライン名刺交換やSNSの活用

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日本ではリンクトインが「転職のためのもの」「SNS=遊び」といったイメージが根強く、思うようにユーザー数が伸びてこなかった。ただ村上氏は、「(コロナ禍でリンクトインが)名刺交換代わりという使い方も増えている。最初は対面じゃないと、という感覚もこういう状況なので変わってきたと思う」と言う。

2010年の日本進出以降、リンクトインは外資系企業の社員を中心に転職目的で使われてきた。ここ数年は、転職に限らないビジネス上の人脈作りや情報収集での活用が増えたという。外資系だけでなく、日系企業でも海外駐在経験者を起点に広がる動きもある。

ただ、紙の名刺なしに登録者やその経歴が本物であることをどう担保するのか。村上氏は、「基本的には相互監視的な仕組みがある。仕事で取引経験があったり、同じ会社で働いたことのある人に推薦コメントを書いてもらうなどして担保している」と説明する。

日本でも徐々に利用が拡大

村上氏は2017年にヤフーの執行役員からリンクトイン日本法人代表に転身。入社初期は、日本語対応や検索、つながりをおすすめするアルゴリズムなど、サービス面の改善を進めてきた。最近では「日本でのユーザーのエンゲージメントの伸び率は世界でもトップクラス」(同)という。エンゲージメントは、投稿やコメントなど、ユーザーのリンクトイン上での活動量を測る指標だ。

エンゲージメントを伸ばすため、リンクトイン自らニュースのキュレーションや記事配信を行う編集部を立ち上げたほか、「認定インフルエンサー」として楽天の三木谷浩史CEOやヤフーの川邊健太郎CEO、メルカリの山田進太郎CEOら、著名な経営者やビジネスパーソンを呼び込み、彼らの投稿によって集客や議論の活性化を狙っている。

「日本では会社への帰属意識が強い人が多いが、会社が倒産すると一緒に倒れてしまう。リンクトインでプロフィールを見るのは無料。自分に近い人を探してキャリアを見るだけでも刺激になるだろう。先行きに危機感を持ってリンクトインに来る人は増えている」と村上氏は指摘する。

コミュニケーションが会社ベースなのか、個人ベースなのかによって、名刺やSNSなどの使い分けも増えるだろう。テレワークや接触の抑制が進む中で、ビジネスにおける人とのつながり方が大きく変わるのは間違いなさそうだ。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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