相手がそれをクリックすると、ブラウザで名刺交換のページが表れる。受け取る側もSansanユーザーであれば、「この名刺をSansanに登録」というボタンを押すと、受け取る側の会社のデータベースに格納される。受け取る側がSansanを使っていなければ、名刺画像をそのまま保存したり、スマートフォンの電話帳に登録したりできる。
Sansanの個人向け名刺管理アプリ「Eight」では、名刺交換をしなくても「友達申請」のような形でつながったり、自分と相手のスマートフォンを近づけるとブルートゥースを使った近距離通信で名刺データを交換できる機能はあった。だがあくまで個人向けのため、企業内での情報共有には向かなかった。
そもそもオンライン上でプロフィールを交換するだけにもかかわらず、紙の名刺の画像データがなぜ必要なのか。今回機能開発を統括したSansanの大津裕史CPO(最高製品責任者)は、「確かに紙の名刺を交換する場面は減るだろう。それでも名刺というフォーマット自体は残る。会社が発行したものだからこそ信頼性が担保される。画像を使わなければ、いくらでも偽造ができてしまう」と指摘する。
必要なのは名刺か、それともSNSか
コロナ後も紙の名刺は残り続けるのだろうか。大津氏は「名刺は会社からもらったものだから他人に渡すことに抵抗感がない。情報量もちょうどいい。仕事で100人に出会ったとして、全員に抵抗感なく渡せる。ただその100人全員とSNSでつながれるか。日本では距離感を絶妙に細かく使い分ける人が多いと思う」と説明する。
一方で、「そもそも(内勤の人など)名刺を持っていない人は多い。名刺を持っていなくてもすべての人が社内外の人とつながれるようになれば、経済的なチャンスがもっと生まれる」と話すのは、アメリカ・マイクロソフト傘下のビジネスSNS世界最大手、「LinkedIn(リンクトイン)」の村上臣・日本代表だ。
リンクトインのユーザー数は世界で6億9000万人以上にのぼり、アメリカでは労働人口とほぼ同数、フランスでは労働人口の3分の2に匹敵する2000万人が登録する(日本の数値は非公表)。「アメリカでオンライン上にプロフィールがないのは、社会人として見えていないのと一緒。(転職などを考えれば)見つかる状態にしておかないといけない」(村上氏)。
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