リモート移行の障害をどう乗り越えたか
――全社でリモートワークに移行するまでにどのような検討を進めたのですか。
もともとはBCP(事業継続計画)として、例えば地震で本社ビルが倒壊するとか、水没するなどしてオフィスが使えなくても、自社のサービスを継続できる体制を考えていた。リモートワークは一部で導入していたが、(会社としては)チームワークでイノベーションを生み出していくことを重視し、一体感を大事にしていたので、基本的には会社に来て仕事をしていた。
ただ新型コロナの感染拡大を受けて、1月から(本格的な)リモートワークの検討を始めた。ウイルス感染の懸念の強い人が家族にいる社員など、まずは一部で始めた。2月の学校休校要請のタイミングで、会社として人の接触を減らすことに協力すべきと考えた。当初は原則在宅と言っていたが、3月2日から本社全体を閉鎖し、出社は許可制としたので、これは「出社禁止」だと後から気づいた。
検討を進めて感じたのが、今回の事態はBCPで想定していたものとは大きく異なるということ。災害時は需要も細り、ビジネスもフル稼働ではない。一方でこの2月、3月はfreeeのユーザーの多くを占める個人事業主の確定申告のまっただ中。リモート体制でサービスを継続していくことは非常に重要だった。
――リモートに移行する上での障害は何だったのですか。
まず調査を始めたのが、全員がリモートになったときにVPN(仮想専用線、社員のみがアクセス可能なネットワーク)などのセキュリティの収容能力があるのかということ。社員だけでなく、業務委託などの人たちも含めて耐えられるのかどうか。これは別の用途に使われていた機材を活用することで、特段投資を増やさずに対応できた。
そもそも自宅にインターネット環境がない人もいる。家にパソコン用のモニターがないと生産性が下がるという懸念もあった。そこでモニターやヘッドセット、ポケットWi-Fiのレンタル費用を会社で負担することにした。
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