「全社一斉リモートワーク」1カ月で見えた極意

クラウド会計「freee」佐々木大輔CEOが語る

全社でリモートワークに移行したfreeeでは、全社員が参加するイベントを、フェイスブックの社内SNS用サービス「Workplace」上で開催。オフィスにいなくとも、社員同士のコミュニケーションが活発になるような取り組みを続けている(写真:freee)
政府は4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて緊急事態宣言を発令、不要不急の外出自粛が強く要請されている。その結果、多くの企業はリモートワーク(在宅勤務)の必要性に迫られている。在宅でも会社と同じように仕事を進められるのか。セキュリティをどう確保するのか。また、自宅のネット環境はリモートワークを進めるうえで十分なのか、など課題は山積みだ。
そんな中、3月2日からいち早く全社員を在宅勤務としたのが、2019年末に東証マザーズ市場に上場したクラウド会計ソフトを手がけるfreee(フリー)だ。同社では社員500人以上が一気にリモートワークに移行し、1カ月が経過した。
同社の佐々木大輔CEOに、リモートワークに移行して蓄積したノウハウや、見えてきた課題を聞いた。

リモート移行の障害をどう乗り越えたか

――全社でリモートワークに移行するまでにどのような検討を進めたのですか。

もともとはBCP(事業継続計画)として、例えば地震で本社ビルが倒壊するとか、水没するなどしてオフィスが使えなくても、自社のサービスを継続できる体制を考えていた。リモートワークは一部で導入していたが、(会社としては)チームワークでイノベーションを生み出していくことを重視し、一体感を大事にしていたので、基本的には会社に来て仕事をしていた。

ただ新型コロナの感染拡大を受けて、1月から(本格的な)リモートワークの検討を始めた。ウイルス感染の懸念の強い人が家族にいる社員など、まずは一部で始めた。2月の学校休校要請のタイミングで、会社として人の接触を減らすことに協力すべきと考えた。当初は原則在宅と言っていたが、3月2日から本社全体を閉鎖し、出社は許可制としたので、これは「出社禁止」だと後から気づいた。

リモートワーク移行後のfreee社内のビデオ会議の様子(写真:freee)

検討を進めて感じたのが、今回の事態はBCPで想定していたものとは大きく異なるということ。災害時は需要も細り、ビジネスもフル稼働ではない。一方でこの2月、3月はfreeeのユーザーの多くを占める個人事業主の確定申告のまっただ中。リモート体制でサービスを継続していくことは非常に重要だった。

――リモートに移行する上での障害は何だったのですか。

まず調査を始めたのが、全員がリモートになったときにVPN(仮想専用線、社員のみがアクセス可能なネットワーク)などのセキュリティの収容能力があるのかということ。社員だけでなく、業務委託などの人たちも含めて耐えられるのかどうか。これは別の用途に使われていた機材を活用することで、特段投資を増やさずに対応できた。

そもそも自宅にインターネット環境がない人もいる。家にパソコン用のモニターがないと生産性が下がるという懸念もあった。そこでモニターやヘッドセット、ポケットWi-Fiのレンタル費用を会社で負担することにした。

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