閲覧データ「クッキー」の先を読む5つの注目点 メディアと広告の未来は規制でどう変わるか

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データの時代においてプライバシーをどう守っていくかが求められています(写真:anyaberkut/iStock)

新型コロナウイルスの感染拡大の影響が依然深刻な中で、アメリカ、中国のメガテック企業は各社とも大胆な対策を打ち出してきています。

アップルでは、ティム・クックCEOが4月5日にツイッター動画で語った、医療従事者向けの「フェイスシールド」を全社を挙げて開発・製造し、週100万個のペースで国内外へ供給していくという取り組みに注目が集まっています。まさに、世界最先端の「垂直統合型」企業としてエコシステム全体で培ってきた強みが十分に生かされた、アップルならではの取り組みとなっています。

グーグルも、COVID-19に関する総合情報サイトの開設などで、新型コロナウイルスに対峙しています。特に注目されているのが、『グーグル「コロナ対策サイト」一目でわかる凄み データ利活用と個人情報保護の両立が不可欠』(2020年4月8日配信)でも解説しましたが、4月3日に公開された、グーグルが持つ位置情報を利活用して作成された『COVID-19 コミュニティモビリティレポート』です。このレポートは、COVID-19の影響を受けて、人々の移動がどのように変化したのかを示すもので、アメリカや日本を含む131カ国・地域ごとに作成されています。

さらに、これら2社について特筆すべきなのが、4月10日にプレスリリースで発表された、アップルとグーグルが新型コロナウイルス対策として濃厚接触の可能性を検出するテクノロジーで協力するという取り組みです。新型コロナウイルスの感染者と濃厚接触した可能性があるユーザーにスマートフォンで通知するという仕組みで、アップルの「iOS」とグーグルの「アンドロイドOS」の間で相互に運用が可能とされています。

アップルとグーグルの連携に募る懸念

アップルとグーグルによる取り組みは世界中のほとんどのスマートフォンを対象とし、高い実効性が期待できる一方で、個人情報に関わるビッグデータを持つメガテック企業同士の連携ということでは、やはりプライバシーに関する懸念が残ります。

実際、アメリカでは、プライバシーを重視する社会情勢が先鋭化されてきています。年初にラスベガスで開催された「CES2020」では「チーフ・プライバシー・オフィサー(CPO)」によるパネルディスカッションが開かれ、多くのセッションがある中で、このパネルディスカッションは最も注目を集めたものの一つとなりました。

筆者自身このパネルディスカッションに参加し、『アップルとFacebookは個人情報をどう守るのか 2社のプライバシー担当役員が公式に語った』(2020年1月13日配信)において、その内容を紹介するとともに、日本がとるべき対応について論じました。

拙著『2025年のデジタル資本主義: 「データの時代」から「プライバシーの時代」へ』でも詳しく解説していますが、本稿では、プライバシー重視の気運が高まる中で、そのキーワードの一つ、「クッキー規制」についての解説をするとともに、その影響を大きく受けるメディアや広告の未来について考察します。

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