アップルとFacebookは個人情報をどう守るのか 2社のプライバシー担当役員が公式に語った
ラスベガスで開催された世界最大級の家電・技術見本市「CES2020」において、「チーフ・プライバシー・オフィサー(CPO)」によるパネルディスカッションが開かれました。多くのセッションがある中で、このパネルディスカッションは最も注目を集めたものの一つです。本稿ではその詳細を紹介するとともに、日本がとるべき対応という観点からも考察を試みたいと思います。
注目された背景には、近年のプライバシーを重視するアメリカの社会情勢と相まって、チーフプライバシーオフィサーというアメリカでもまだ新しい役職について関心が高まっていること、アップルが1992年以来28年ぶりにCESへ参加し、そのアップルのCPOが登壇したこと、個人データ流出などでプライバシー問題の中心にあるフェイスブックのCPOも登壇したことなどがありました。あわせて、日本の公正取引委員会にあたる連邦取引委員会(FTC)のコミッショナーが登壇したことも話題になりました。
筆者自身、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などのメガテック企業の「ビッグデータ×AI」の利活用に関連して、個人データの取り扱いやプライバシー対応に強い関心を持ち、このセッションに参加しました。スピーカーによるパネルディスカッションのなかで、筆者が特に驚いたのが、プライバシー重視で高い評価を受けるアップルでさえも、規制当局からはプライバシー重視への取り組みがまだ十分ではないと示唆された点でした。
アップルとフェイスブックのCPOが登壇
このパネルディスカッションはアップルとフェイスブックのCPO、FTCのコミッショナーにくわえて、世界最大の消費財メーカー、P&GのCPOも登壇、モデレーターを含めて5名によるものでした。
テーマは「チーフプライバシーオフィサー・ラウンドテーブル:消費者は何を求めているのか?(What Do Consumers Want?)」です。成長するデータ・エコノミーや進化するテクノロジーという状況下、企業は消費者の個人データやプライバシーに対してどのように対峙し、それらをどのように保護する仕組みを構築していくのか。そのような論点について議論がかわされました。
結果的にスピーカーの中心となったのが、アップルとフェイスブックでした。
アップルは、従来「プライバシーは、基本的人権です」(アップルのコーポレートサイト)として、ティム・クックCEOの方針のもと厳格なプライバシー基準を設けユーザー保護をうたってきました。
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