アップルとFacebookは個人情報をどう守るのか 2社のプライバシー担当役員が公式に語った

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ジェーン・ホバースCPOは、アップルのプライバシー保護の方針を「消費者を運転席に置くこと(to put the consumers in the driver’s seat )」と表現しました。これは、ユーザーが個人データをみずから管理し、さらには個人データをどのように扱わせるかについてみずから選択するということを意味しています。また、「プライバシー・バイ・デザイン」というプライバシー方針に則って、ホバースCPOの部門にはプライバシー・エンジニアとプライバシー・ロイヤーが所属、チームとしてアップルのすべての製品・サービスの開発段階からかかわっていることが説明されました。

さらに、ホバースCPOは「データ・ミニマイゼーション」にも言及しました。これは、ユーザーから収集する個人データを最小限に抑える、活用する個人データを最小限に抑えるという概念であり、アップルのプライバシー方針のなかで極めて重要な位置を占めるものです。

同CPOは、アップルの音声認識AIアシスタント「Siri」を例にして、データ・ミニマイゼーションの考え方を示しました。例えば、ユーザーが「Siri」に天気予報をたずねる場合、アップルはユーザーがいる場所を広域レベルで把握するだけで、より細かい位置情報は収集しない。一方で、ユーザーが近くのレストランを「Siri」にたずねる場合、アップルは最適なレコメンデーションをするために、ユーザーが位置する緯度・経度といったピンポイントのレベルまで探索する。つまり、アップルは、用途に応じて、必要最小限の個人データしか収集しないということです。

フェイスブックに対しては会場からブーイングも…

個人データ流出事件を受けて「未来はプライベートです。(the future is private.)」(2019年、フェイスブックの開発者会議「F8」でのマーク・ザッカーバーグCEOの基調演説)として、プライバシーやセキュリティをさらに強化・重視する姿勢を示しているフェイスブックからは、エリン・イーガンCPOが登壇しました。

イーガンCPOは、フェイスブックがプライバシー問題の中心にあるにもかかわらず、新しい「プライバシー診断ツール」を紹介するとともに、自分たちはプライバシー方針を遵守している、またフェイスブックはサービスプロバイダーとして広告を売っているのであって、個人データを売っているわけではないなどと発言し、会場からブーイングが発せられるシーンも何回か見受けられました。

フェイスブックはプライバシー問題の所在や同社が社会から求められていることを本当に理解しているのか疑わざるを得ないような発言が目立ったように思いました。

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