閲覧データ「クッキー」の先を読む5つの注目点

メディアと広告の未来は規制でどう変わるか

しかし現実には、クッキーとほかのデータとを突き合わせることで個人が特定できてしまうこともあるのです。さらに、クッキーは、ユーザーのログイン状態が不正に再現されてしまったり、ユーザーが意図しないブラウザの不正操作が行われたりする、セキュリティに関する弊害をもたらすリスクもはらんでいます。

これまでは、クッキー単体で個人情報と見なされることはありませんでした。しかしクッキーに限らず、個人情報の保護はインターネットの拡大とともに注目されるようになったトピックです。

プライバシーの権利は、日本国憲法第13条で規定された「幸福追求権」に含まれると考えられる基本的人権の一つですし、とくにEUはつねに世界の先頭に立ってプライバシー保護を推し進めてきたという、歴史的な経緯もあります。クッキー規制導入の動きは、このような背景から始まりました。クッキーによる個人の分析や特定を規制すること。クッキーを収集するなら、使用目的を説明し、ユーザー本人の同意を得ること。そのような内容が中心になっています。

結局、クッキーはどうなるのか?

私たちは、ネットサーフィンをしたりオンラインショッピングをしたりする際、クッキーを使うことでさまざまな機能を実現することができます。クッキーは、インターネット・ライフを便利にするはずのもの。しかし、その一方で、プライバシーやセキュリティに関する弊害の温床にもなる側面を持ち合わせています。

そこで、「結局、クッキーはどうなるのか」を次の5つのポイントとして整理したいと思います。

第1に、クッキーは欧州GDPRやCCPAにおいては法令上の個人情報として取り扱われます。もし企業がその第三者提供や利用・取り扱いの際に法令違反すれば、厳しい罰則が科される可能性があります。グーグルがターゲット広告目的のデータ収集が不適切であったとして5000万ユーロ(62億円)の制裁金を科されたのは顕著な例です。

よって第2に、法令上、サードパーティクッキーの利活用が制限されます。現在デジタル広告のエコシステムほぼ全体がターゲティング広告でサードパーティクッキーに依存していると言っても過言ではなく、そのターゲティングの精度が低下すると思われます。

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