コロナ禍で競馬が無観客開催続ける大きな意義

震災乗り越えた8年前と対照的な福島競馬場

武豊騎手は自身のオフィシャルサイトで「私たちは競馬ができることを何よりの幸せと感じて、週末の貴重な娯楽としての競馬に全力を注ぎます。各自が健康に十分留意して、レースでは全力プレーを。競馬が皆さんに希望を与えられる存在となるように頑張ってまいります」と第一人者として騎手の気持ちを代弁して述べている。

スポーツ界がほぼ休止している現在、エンターテインメントも含めて、競馬はライブの楽しさを発信している貴重な存在と言えるだろう。

日本馬主協会連合会も4月15日、新型コロナウイルス感染症対策としての支援のため、1000万円を計上したと発表した。日本競走馬協会(吉田照哉会長代行)は4月15日、新型コロナウイルス感染症への既存薬の治療効果を研究している国立研究開発法人国立国際医療研究センターに1000万円を寄付した。馬主も含めてサークル全体で支援の輪も広げている。

我々取材者もマスクを必ず着用し、手の消毒を欠かすことはない。筆者が出演している競馬中継はアナウンサーと現場のリモート中継を始めている。実は競馬場で出演しながら無観客クラシックとなった桜花賞と皐月賞を映像で観戦したのだが、いつもなら場内からGⅠファンファーレに合わせて巻き起こる手拍子や歓声がないことに気づいた。こんなところでもあらためて無観客であることを感じた。

ラジオにも出演しているが、換気のいいスタンドの外側のバルコニーの実況席でアナウンサーと解説者で十分な間隔を取って中継している。騎手らと接触する検量室周辺は競馬記者クラブ加盟社で1社2人までに限定して取材を続けている。

コロナ禍の今、競馬開催の意義

競馬は売得金の一部を国庫納付金として納めている。中央競馬は昨年、約3000億円を納付した。国の貴重な財源となっていることは確かだ。

現在は電話・インターネットの投票に限定されているが、緊急事態宣言以降、桜花賞も皐月賞も前年の8割以上の売り上げを記録。今春の福島競馬の開催4日分の売得金は電話・ネット投票限定ながら昨年を5.7%上回った。これは驚異的だ。無観客となってからネット投票の加入者も増えている。

JRAが5月31日まで無観客で開催することを発表したことで、春の福島競馬はすべて無観客となることが正式に決まった。さらに、日本ダービーが1944年以来の無観客となることも決まった。競馬に携わる者としてダービーが無観客となるのは重い事実だ。それでも競馬を無事に開催するためには当然の決定でもある。

JRAの後藤正幸理事長は『このたびの新型コロナウイルス感染症に罹患された皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。新型コロナウイルス感染拡大の影響に鑑み、私どもは4月25日(土)から日本ダービー当日の5月31日(日)までの間、お客様をお迎えすることなく無観客で競馬を開催することといたしました。中央競馬をお楽しみいただいているお客様にはご不便とご迷惑をお掛けいたしますが、何卒ご理解、ご協力くださいますようお願いいたします。引き続き、中央競馬を御愛顧いただきますよう重ねてお願い申し上げます』とコメントを発表した。

外出を控えなければならない状況の中、競馬が貴重な娯楽としての役割を果たしているのだろう。それでも今後の新型コロナウイルスの感染拡大次第では無観客競馬を続けることも予断を許さない状況だ。

我々競馬に携わる者は気を引き締めながら、サークル全体で無観客開催を続けるための努力をしていく。取材者の立場といえどもそれは同じである。

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