柴田陽子「営業せずとも売れる」生き方の根底 どんなつらい体験も受け止め方次第で糧になる
「私の経験上、『結果』の設定を細かく丁寧にすればするほど、クライアントからの感謝も得られます」。
柴田はプロジェクトに取り組むとき、非常に細かいところまでこだわり抜いて「結果」を設定するのだという。「結果」というのは、単なる「売り上げ」や「数字」といった目に見えることだけではない。クライアントが、どんな結果を求めているのかをできるだけ細かく設定・定義し、そこまでたどり着くための道筋を考えるということだ。
どんなに準備し、完璧にしたつもりでも、結果が出ないときは、きちんと「結果」に向き合ったうえでのことなら、それは「失敗」ではなく「学び」だと語る。
柴田に依頼が絶えない理由
「子どものころから人が喜ぶことがしたいし、それを想像するのが大好きでした。
小学校4年生の頃、友達から筆箱をプレゼントしてもらったとき、
『この筆箱はこのあたりでは売ってないから、これを買うために電車で〇〇駅まで行ったはず。移動だけで往復2時間以上。これを選んで包装してもらうだけでも30分。ってことは、3時間くらいかけて、これを買ってきてくれたことになる。土日の半日を私のために使ってくれたんだね』
と母に話していたそうです」
誰かがしてくれたことには、必ずその想いが入っている。そこに「価値」を見つけ出し、それを相手に伝える。場合によっては本人さえ気づいていないその価値を理解してくれると、人は嬉しいし、感謝もするし、相手を大切に思う気持ちが芽生える――。
想像力を駆使し、相手を物語の主人公にして、映像を見ているかのように思い浮かべることができる柴田は、今まさに、それを強みに仕事をしている。人に深い興味を持ち、人のために尽くすことが好きだった特性は、今のビジネスにおいて有利に働いているのだろう。
企業のブランドは、時に、商品やサービスといった商材の中身以上に命運を左右する。柴田がそれを託されるのは、柴田そのものがブランドを体現しているからであろう。どんなことでも本気で“当事者意識”を持てる彼女の生き方が、一度も営業をしたことがないのに依頼が絶えない理由だと、筆者にはそう思えて仕方がない。(敬称略)
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