柴田陽子「営業せずとも売れる」生き方の根底

どんなつらい体験も受け止め方次第で糧になる

柴田陽子事務所代表の柴田陽子氏(撮影:梅谷 秀司)

「『柴田さんはすべて恵まれていて特別だから』と言われることも多かったんです」

東京・代官山にあるオフィスでインタビューに応じた柴田陽子は、こんな話を打ち明けてくれた。

渋谷ヒカリエ、ログロード代官山、東京會舘、東急プラザ渋谷。東京近郊に住んでいる人なら、その多くが一度は見聞きしたことがあるはずだ。これら有名な商業施設だけでなく、ローソン「Uchi Cafe’ SWEETS」などのブランディングに携わるキーマンが柴田である。

2004年設立の「柴田陽子事務所」、通称「シバジム」の代表取締役として、「ブランドプロデューサー」を生業とする。クライアント企業の商品やサービスなどを新しく作ったり、すでにあるものをブランド化したりするのが彼女やシバジムの仕事だ。

驚くことにシバジムには「営業」に当たる部門や担当者が存在しない。なぜなら「営業をまったくしない」のに、ずっと先まで仕事が詰まっているからだ。名だたる企業のトップから指名され続けるのはなぜか。ブランドプロデューサー、柴田陽子という人物はいったいどのように形作られてきたのか。

決して「順風満帆」な人生ではない

取材場所に颯爽と現れた柴田は、自身がデザイナーのファッションブランド「BORDERS at BALCONY」の桜色のジャケットをエレガントに着こなし、その凛とした佇まいからは気品と活力が満ち溢れていた。BORDERS at BALCONYはアパレル不況が続く中で、この3年ほどは前年比5割増以上の伸びを続けてきた。

柴田はグランツリー武蔵小杉の総合プロデューサー、2015年ミラノ国際博覧会における日本館レストランプロデューサーなどを務めたこともある。著書も多数。プライベートでは小学生の子どもを持つ母親でもある。

発する言葉や立ち振る舞いは、デキる女のまさにそれ。すべてを備え、誰もが羨むほどの完璧な女性ともいえる柴田だが、実は冒頭で打ち明けてくれた彼女に対する世間のイメージとは裏腹に、柴田の人生は決して周囲が思うような「順風満帆」ではない。半生を振り返りつつ、彼女の仕事に対するノウハウや考え方などをつづった新刊『勝者の思考回路 成功率100%のブランドプロデューサーの秘密』(幻冬舎)では、壮絶な過去を初めて明かしている。

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