アフリカ各国の「新型コロナ」対応は意外に迅速

エボラ対応で一定の経験値が蓄積されている

また、エボラウイルス病の場合は、農村で感染した人々が、医療インフラの乏しい地域から、近隣の都市や町の病院へと押し寄せ、「医療崩壊」につながる結果を生んだ。こうした爆発的な流行は2015年前半までであり、その後は感染者が発生し続けたものの、それまでに人の移動の規制などを含むエボラウイルス病対策システムのもとで作られた治療施設で対応が可能となった。

その意味では、アフリカの一部地域の人々の間には、感染症への対応という一定の経験値は存在していることは想定できる(今回シエラレオネは感染者がゼロの段階の3月24日に12カ月の非常事態宣言を発している)。

アフリカ諸国の対応

アフリカ(北アフリカを含む)の54カ国のうち感染者が確認された国は、3月29日までに46カ国に達しており、感染者数は全体で4000人を上回っている。

当初は、その多くが欧米諸国から入国した人が占めており、人の移動が激しい中で、「外から新たに持ち込まれた危機」という様相を示していた(それゆえの日本などアジアからの外国人への排外主義的な動きも見られている)。

この問題へのアフリカ各国政府の対応は比較的迅速であった。

南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は、3月15日に新型コロナウイルス対策に関する演説を行い、災害対処法に基づいて「国家的災害事態」を宣言すると発表した。26日からはさらに厳しい外出規制をはじめた。

立て続けに3例の感染を確認したケニアのウフル・ケニヤッタ大統領は南アフリカと同様3月15日に緊急会見を開き、新たな措置を発表した。会見から48時間以内の17日以降、新型コロナウイルスの感染事例が確認されているすべての国からの入国が停止となった。

入国が認められるのはケニア国民と有効な居住許可を保持する外国人のみとし、渡航歴に応じ14日間の自主的隔離措置もしくはケニア政府が指定する隔離施設で必要な検査を受ける必要が生じた。

これに加え、ケニヤッタ大統領は、政府関係機関や民間企業に従業員の在宅勤務を奨励し、出勤は必要最低限にとどめるよう要請し、現金取り扱い時の感染リスク軽減を目的とした、キャッシュレス決済を推奨するなどの対策を打ち出した。

ケニアでも3月25日に大統領が夜間外出禁止令を含む厳しい対応策を発表するなど、対策の厳格化が進んでいる。しかし、南アフリカでも、ケニアでも、こうした強硬な対策に抵抗する一部市民と政府の間で対立が生じるなど治安の悪化も懸念されている。

こうした迅速な対応策が打ち出される中でのアフリカにおける新型コロナウイルス感染における初の死者の報道は、当初は意外に思われた。

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