アフリカ各国の「新型コロナ」対応は意外に迅速

エボラ対応で一定の経験値が蓄積されている

今回のコロナ禍が国際的な注目を集め始めた時期と前後して、「アフリカの角」をめぐる地域で最大の懸念材料となっていたのは、数千億匹という想像を絶する規模で発生するサバクトビバッタ(Desert Locusts)と呼ばれるバッタによる被害である。

極めて飛翔能力が高く(1日に100キロから200キロ)、1平方キロメートル当たりの比較的小さな群れであっても、1日当たり3万5000人分の食糧(穀物や果物)を食べつくすため、アフリカでは重大な食糧危機、人道危機を招く現象として強い危機意識を持って受け止められてきた。

国連食糧農業機関(FAO)は、ソマリアでは25年、隣国ケニアでは70年に1度の危機として緊急事態を宣言しているほか、2月2日にはソマリア連邦政府は食糧危機を懸念して非常事態宣言を出した。バッタの大群は紅海を越えて対岸のアラビア半島に至り、さらにペルシア湾までをも越えてアジア、そして中国にまで到達している。

3月中旬の段階でも、「アフリカの角」地域、エチオピア、ケニア、ソマリアではサバクトビバッタの羽化は継続的に発生し続けており、極めて深刻な状況が続いている。今回のコロナ禍のあおりを受ける形で、FAOが求めている約1億3800万ドルの資金協力もその半分にも満ちていない状況にある。さらに、この危機については、国際報道のうえでもほぼかき消えている。

こうした「見える敵」との戦いで、すでに厳しい状況にある「アフリカの角」地域に今回の「見えない敵」という特徴を持つコロナ禍がどのような追い打ちをかけるのか、さらなる懸念を抱かざるをえない。

感染症へのアフリカの経験値

アフリカは、2014年に西アフリカのギニア、リベリア、シエラレオネを中心として発生したエボラウイルス病の大流行(エピデミック)が起きたことにもみられるように、感染症対策では「最前線」として位置づけられてきた地域である。

エボラウイルスは、感染者の体液に直接触れることでしか感染しないウイルスであり、通常は重症化した患者からしか感染が起きないと考えられてきた。その意味では感染症の中では比較的コントロールが容易と考えられているが、世界で最も医療体制が脆弱である地域であることやWHOを含む国際社会の対応の遅れが指摘された。

西アフリカでエボラウイルス病が広がった主な経路としては、患者を看病した家族・親族への感染、さらには、葬儀の参列者への感染がある(遺体にも感染力があり、葬儀で遺体に触れたりキスしたりした結果であった)。

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