星のや京都に見る、進化する日本の宿 星野リゾート31歳GMが考えたら、こうなった!

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建築専攻から、ホテル業に飛び込んだ理由

――従業員は何人ぐらいいらっしゃるのですか。

今は全部で50人です。25部屋ですから、部屋に対してはかなり多い。スタッフとお客様が接する時間を増やすように心掛けています。

――総支配人もお若いと聞きましたが……

酒井総支配人。31歳と若い

31歳でございます。

――新卒から星野リゾートですか?

そうです。全国の施設を回りまして、2年目から「星のや」の開発を経験して、京都の開業プロジェクトを担当しました。

もともと私は学生時代に建築を学んでいて、図面が読めたものですから。開業のときに京都に来てずっとサービスをして、2年前に総支配人に着任しました。

――バックグランドが違う中で、どういうふうに「おもてなし」の精神を?

建築を学びながら、日本もハードを作る時代から、これからは少しずつそれを使いこなすほうにフォーカスされるだろうと思っていました。

私も長野県出身ですが、日本の地方はポテンシャルがあり、優秀な人がいるのに、仕組みが悪くて活躍できない。でも、それはいつか変わる時代が来ると思ったのです。そのときに出会ったのが星野リゾートという会社です。

――長野の会社ですからね。理系の学問は人よりモノが相手ですが、接客で苦労はなかったですか。

やはりありました。ただ、私は元来、人に興味がありまして、お客様もそうですし、スタッフにも興味があります。スタッフが輝けばよいサービスをしますし、お客様に気がつく力を伸ばすとか、引き出すことが大切だと思います。

私の今の仕事は、従業員の満足度を上げて、不必要な従業員のストレスをなくすことです。いいストレスと向き合える環境を整備することに力を入れています。

――それは共感できます。ストレスがまったくなければいいわけではないですし。

はい、ストレスは必要です。ただし適切なストレスですね。

世の中っていらないストレスが多いですよね。たとえば、あの人と合わないのに同じ部署に入れられたりとか(笑)。そういうものはこちらで解決して、いい仕事をしてほしいと思っています。

(撮影:梅谷秀司)

 

筆者が手掛けた東洋経済オンラインのホテル連載が、電子書籍「1泊10万円でも泊まりたい ラグジュアリーホテル 至高の非日常」(小社刊)になりました。10万円以上するような部屋に泊まりたいと思わせるラグジュアリーホテルの魅力とはいったい何なのか。厳選9ホテルの総支配人たちが大いに語っています。

 

山川 清弘 東洋経済『株式ウイークリー』編集長兼「会社四季報オンライン」副編集長

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やまかわ きよひろ / Kiyohiro Yamakawa

1967年、東京都生まれ。91年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東洋経済新報社に入社後、記者として放送、ゼネコン、銀行、コンビニ、旅行など担当。98~99年、英オックスフォード大学に留学(ロイター・フェロー)。『会社四季報プロ500』編集長、『会社四季報』副編集長、『週刊東洋経済プラス』編集長などを経て現職。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。著書に『世界のメディア王 マードックの謎』(今井澂氏との共著、東洋経済新報社)、『ホテル御三家 帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ』(幻冬舎新書)など。

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