星のや京都に見る、進化する日本の宿 星野リゾート31歳GMが考えたら、こうなった!

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それを否定するつもりは全然なくて、大切な観念です。「骨董屋さんに行きたいんだけど」と言われれば、「かしこまりました」と言って、骨董屋さんのリストがパッと出てくる。

レストランでは客との対話から料理が生まれることも

一方、日本のサービスは、要望を言われてから準備するよりも、「この方はこういうことを望むのではないか」を想像して、主人側が準備しておく。つまり、提案型のサービスですね。

たとえば、なじみの料理屋さんに行ったときに、「おいしい魚が入ったんで、ちょっとこれ試してみる?」と提案されて、「じゃあもらおうか」と。それでコミュニケーションができて、「おいしかったよ。また来るよ」と。

調理法も聞くのではなく、この人ならこういう食べ方を気に入ってくれるのではないかと、主人が想像して提案する。主(あるじ)とお客が、上下というよりも対等の横並びの信頼関係にあるような気がします。その部分を宿屋でも出していきたい。

――興味深いですね。

宿でのアクティビティ提案はたくさん持っています。たとえば30代のカップルでご結婚前とわかれば、2人の時間を大切にするような滞在の内容をご提案できる。

50代のご夫婦で関東からお越しなら、京都へのご経験の回数などを聞いて、経験が深ければより深い京都に。経験があまりなければ、日本文化の体験をご提案したり。

提案できるものは私たちの施設の強みでもあるので、カラオケではなくて、「朝体操してみませんか?」とか、お酒が好きなら「蔵を改造したバーがあるので、夜ちょっといかがですか?」とか。

種類も徐々に増えていますし、進化しています。それが大事だと思っていて、リピーターのお客様がいらしたときに、「あ、こんなこと考えたんだ」と気がつく。違う提案があると喜ばれることが多いですね。

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