40歳、元阪神投手の会計士が後輩に伝える知見 現役時代から社会に出る能力の養成が必要だ

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「ヒヨコのオスとメスを鑑定する資格があること、知ってます? 熟練になると、一瞬で見分けるらしいです。こんなことも、資格ガイドに載っています。

そこで、稼げる仕事を探しました。医者や弁護士はもちろん稼げますけど、今から取得するには相当な時間と労力がかかる。そこで、会計士という仕事を発見しました。数字とか、経営とかいうワードが直感で、”カッコいいな”って思ったんです。そこで資格の条件を見たら学歴不問で、簿記のスキルがあればいいと。僕、商業高校出身だったんで、簿記検定2級持ってたんですよね」

高校時代、授業は人並みには受けていたものの、本業は野球部。成績はいいとは言えなかった。そんな中、簿記の授業だけは好奇心を持って取り組んでいた。それが、意外な形で生かされることとなる。

目指した道は険しかった

会計事務所で働きながら勉強しようと試みるも、40社近く受けた面接はすべて落ちた。会計事務所へのアプローチは労力の無駄になると判断し、高額バイトで生活費を稼ぎながら勉強することを決めた。しかしそれは、険しい道だった。

「現状に不満を抱きつつ、それを変えられない自分がもどかしかった」(撮影:梅谷秀司)

「深夜のネットカフェ、引越し、肉体労働で高単価の時給のバイトをやりまくりました。空いた時間で勉強しようと思いましたが、そもそも仕事がキツすぎて、勉強しようにも眠くて勉強できず。会計士を志しつつ、日々の仕事に追われる毎日。現状に不満を抱きつつ、それを変えられない自分がもどかしかった」

4年の月日が流れた。勉強とバイトの両立を続けつつ、なんとか簿記検定1級を取得するまでになった。しかし、会計士になるには程遠い状況である。何かを変える必要があった。

「環境を変えるため、人材紹介の会社に行きました。そしたら、その会社が自社で採用してくれることになったんです。いきなり東京へ引っ越すことになりましたが、そのくらい環境を変えたほうがいいだろうと、すぐに引っ越しました」

勤めた会社は、会計士などの士業の資格を取るための予備校。そこのチラシやWebサイトをつくる広報周りの仕事についた。新しい仕事、環境、人間関係と、目まぐるしく変わる生活のリズムに、勉強をする時間を取ることはまたしても困難になった。

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