25歳で巨人1軍出場を掴んだ男と妻の下克上物語 異色の経歴を歩んだ徳島出身の増田大輝選手
2019年4月19日、球界を代表するスター選手・坂本勇人に代わり、ショートの守備位置に就いた選手がいる。増田大輝(ますだ・だいき)――読売ジャイアンツ(以下、巨人)所属の4年目の選手だ。この試合が待望の1軍初出場となった。増田選手は2015年に育成選手として巨人に入団した。地道な努力を続け、2年目の2017年7月に支配下選手に昇格し、ファームでみっちり経験を積んだ。
4年目での1軍は決して早いとはいえない。それでも、堅実な守備力を武器に、内外野5つのポジションで守備機会をこなすなど、1軍に帯同し続けている。育成選手から1軍の檜舞台へとはい上がってきた増田大輝を支えたものとは?
徳島県に巨人選手の妻が……?
徳島県阿波市。東京からおよそ500キロ離れた、人口4万人弱の小さな町だ。あたり一面に田んぼが広がるのどかな田舎町に、増田選手の妻・優香(ゆうか)さんは、2児とともに暮らしている。4人家族のうち、増田選手だけが離れての生活だ。
まさか徳島県に巨人選手の奥様がいるとは……。
「私が逆の立場でもそう(不思議に)思うと思います」
優香さんはそう言って笑う。そこには、夫を支えていくと決めた、優香さんの強い思いが隠れている。
2人が別居生活に踏み切ったのは、金銭面によるところが大きい。正社員として働く優香さんは増田選手よりも収入が安定している。加えて、いつ増田選手が戦力外通告を受けるかわからない不安があった。
そのため、優香さんは東京へあえて行かず、夫と離れて暮らす選択をしたのだ。
増田選手が自信を持って東京に呼べる日が来るまで、優香さんは遠くからサポートを続ける。
優香さんは、休日になると、車を運転して買い出しに行く。東京で一人暮らしをする増田選手のために、手料理を作り、冷凍して、送っているのだ。激励の言葉を書き連ねた手紙も忘れない。週に1回、優香さんから届く手料理と手紙が、増田選手の励みになっている。
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